連休に、東京の友人たちとオンラインおしゃべり会をした。
そのとき、嫌な記憶につきまとわれたらどうするかという話になり、最近、俳句の季語をランダムに思い浮かべていくのが有効だと気づいたと話した。
まったく違う方向へと、一瞬にして意識が変わる。
同じ意味で、『翻訳されない世界のことば』のページをめくるのも有効だ。
いろいろな国の51の言葉に、著者の短い所感が添えてある。
たとえば、スウェーデン語の「MANGATA(モーンガータ)」
訳は「水面にうつった道のように見える月明かり」
人々は、こんなにも美しく詩的な風景に、いまではほとんど目を向けなくなっています。それでも、漆黒の夜の海にうつった月明かりがまっすぐに渡っているシーンには、きっと目をうばわれるでしょう。
たしかに日本語には、「水面にうつった道のように見える月明かり」という言葉はない。
そんなシーンに遭遇したら、「MANGATA(モーンガータ)」とつぶやいてみたい。胸の底に水面に揺れる月明かりの道が伸びてゆく。
絵がまた、いい。シンプルで静かな心持ちになる。
ユーモアも利いている。
たとえば、マレー語の「PISAN ZAPRA(ピサンザプラ)」
「バナナを食べるときの所要時間」
これは人によって、またバナナによってもちがいます。
ただ、一般にはだいたい2分くらいとされています。マレーの民話では、人食い鬼は、昼間はバナナの木にかくれているそうです。
どんだけバナナ食べてるんだよ。と笑いつつ、「2分待って」というときに「PISAN ZAPRA待って」なんて、使ってみたいという欲求が膨れ上がる。
『翻訳できない世界のことば』は、ニューヨークタイムズでベストセラーとなり、タイトルとは裏腹に世界じゅうで翻訳されているのだとか。
友人たちに、この本を教えてあげよう。
みんなそれぞれに、まったく違う方向へと意識を飛ばす時間が必要なのだ。
創元社では同く絵本の形をした『誰も知らない世界のことわざ』、『なくなりそうな世界のことば』があり、「世界を旅するイラストブックシリーズ」と名づけられ、現在7冊刊行されているそうです。
「MANGATA(モーンガータ)」
「PISAN ZAPRA(ピサンザプラ)」
こんにちは~。
「水面にうつった道のように見える月明かり」をモーンガータというのですね。
ちょっと、風景が違いますが
こちらでは満月が海面にうつった明りを「月の道」と呼んだりします。
瀬戸大橋の東奥から上る満月が好きで見に行きます。
モーンガータは海面でもいいのかな?
今度、使ってみたいと思います。♡
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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