夫もわたしも、オッソブーコという食べ物を知らなかった。
知ったのは、ミラノで買った日本語のガイドブック。
どうやらミラノの歴史あるご当地グルメらしい。osso(オッソ)=骨、buco(ブーコ)=穴で、ossobucoは骨髄のことらしい。仔牛肉を骨髄ごと輪切りにして煮込んだ料理らしい。英語のメニューでも「ossobuco」とかいてあるらしい。これは、食べてみなくっちゃ。
夕方までふらふらミラノの街を歩き回り、昼寝をしてからトラットリアのあたりをつけ、二人ホームページを見ながらイタリア語と英語のメニューと格闘した。
「おススメのメインは、これみたいだよ」
「他に比べてやけに高くない?これ。かなりの量なのかな?」
「ん?あ、これメインだけじゃない。ワンプレートでメインとリゾットがセットになってるんだ」
「あー、これだ。ミラノ風リゾットと一皿に盛ってある!」
(オッソブーコを検索して出てきた写真を見て)
「お試しコースっていうのもあるよ」
「うーん。それでも食べきれないよね。でもオッソブーコとリゾット食べたい」
あれやこれや好き勝手言い合って、相談をまとめる。
「ミラノ風リゾット、リゾット・アッラ・ミラネーゼの伝説を話しましょう」
ある程度メニュー選びが落ち着いたところで、わたしが言う。買ったばかりのガイドブックの受け売りである。
「ドゥオモのステンドグラス職人にサフラン好きな奴がいた。彼は絵の具にもサフランを加え、結果美しい絵に仕上がった故、ザッフェラーノ(サフラン)と呼ばれるようになった。親方は彼をからかって『そのうちリゾットにもサフランを入れるようになるだろうよ』と軽口をたたいていた。その親方の娘の結婚式の日、ザッフェラーノは披露宴のリゾットにサフランを入れた。かなわぬ恋を悲観してのことだった。しかし彼の入れたサフランは、リゾットをも美しく美味しいものに仕上げたのだった」
料理というものは、偶然から出来上がったものも多い。事実は判らないが、山火事から焙煎されるようになったともいわれる珈琲。ポテトフライ嫌いの客のために薄切りにして揚げたというポテトチップス。製菓用チョコレートを切らして普通のチョコを入れて焼いたことから生まれたチョコチップクッキー。ドラマチックな物語はなくとも、ちょっとこれ入れてみようかな?とか、調味料切らしちゃったからとか、そんな偶然から生まれる我が家の味は数え切れないだろう。
トラットリアでワインを空け、味わったオッソブーコとリゾット・アッラ・ミラネーゼは、文句なく美味しかった。当然だが、偶然では作れない味だと思った。
どこにでもある偶然と、それを捕らえて必然にする料理というものを思う。
夜のミラノも素敵です。ドゥオモ近くのアーケード、ガッレリア。
『Trattoria Masuelli S.Marco Srl 』での夕食です。
お通しが出てきました。南瓜とリコッタチーズのスープ?マッシュ?
前菜アンティパストを2品、頼みました。パンチェッタのたたき。
鰯のフライとチョウザメのソテー。
高級リストランテには行っていませんが、前菜とパスタだけとか、パスタとメインだけとか、ふたりでシェアとか、食べられそうなだけを注文して、一度もコースでオーダーしませんでした。それでも気持ちよくサーブしてくれます。
メインのリゾット・アッラ・ミラネーゼとオッソブーコです。
オッソ骨とブーコ穴、ちゃんとありますね。骨髄のなかのスープが絶品。
マスカルポーネチーズのデザート。すべてシェアしていただきました。
ブレラ絵画館近くの『ナブッコNabucco』もおススメ。日本語メニューあり。
海の幸リゾット。ミラノは寒くて野菜スープが美味しかった。
はりねずみさん、こんにちは~♪
私もイタリアでオッソブーコを食べた時にそのおいしさに感動しました。
でもこれってなかなか家庭で再現できない味なんですよね。
写真を見てたら食べたくなりましたよ。
マスカルポーネチーズを使ったデザートも美味しいでしょね。
一番好きなのはティラミスですが、こんな風に素朴な感じのも食欲をそそります。
イタリアは美味しい物がたくさんあるのでダイエット中はちょっと旅行できない国です(笑)
papermoonさん
こんにちは~。
papermoonさんもイタリアでオッソブーコ食べたんですね!ほんととろける美味しさでした♩
家庭では、むずかしいでしょうね。まず骨付きの仔牛肉がなかなか手に入らないですよね。
マスカルポーネチーズのデザートは、ちょっとカスタードっぽい感じの素朴な味でした。これは再現してみようかなって思っています。
ダイエットの話は・・・やめましょう(笑)
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。