あささんの誕生日は、11月28日だった。
ペペペ日めくりカレンダーである。
その11月28日は、「自分の誕生日と同じ数字のナンバープレートを見つける日」だった。
「あー、これよくある」
朝めくった瞬間、夫に言った。
「自分の誕生日っていうより、家族の誕生日の方が多いかなあ」
車社会の山梨の田舎では、日々ナンバープレートを目にする。その目にするナンバー自体も生活の一部のようなものだ。
信号待ちでぼんやりと前の車のナンバープレートを見て、思う。
「8932かあ、惜しいなあ。最後が1だったら白菜なのに」
すれ違う同じ型の車のナンバープレートを見て、また思う。
「あ、いろいろ(1616)さん。最近よく、すれ違うなあ」
そして娘の誕生日と同じナンバーを見て娘を思い出し、息子の誕生日と同じ数字を見てまた息子を思い出す。父の、母の、弟の、妹の、そして夫の誕生日も然りだ。
目に入ってくるナンバープレートの数字は、一瞬で走り去っていくけれど、そこにふと思いを馳せた家族の残像が浮かび上がる。
思いが浮かび、スーッと消えていく。その瞬間、心の温度がかすかに上がる。
家族って、そういうものかもしれない。離れて暮らしていれば、なおのこと。
こういうのも、シンクロニシティっていうのかな。
最近好きだったのは「鼻で笑う日」。
「アイスクリームの森を歩く日」は、ちょっと寒そう。
「誰もいないすきに泣いておく日」。
きのうは「ロマンスの神様に願いを叶えてもらう日」でした。
来年のペペペ日めくりカレンダーも購入しました。
写真家の夫、Yasuo Maedaのカレンダーも販売中です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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