冷蔵庫の断捨離をしていた先週、憧れの生姜ご飯を炊いた。
瀬尾まいこの本屋大賞を受賞した小説『そして、バトンは渡された』に載っていた生姜ご飯がむやみやたらと美味しそうで、ずっと炊いてみたいと思っていた。
血のつながらない3人目の父親である森宮さんが、優子の大学受験の朝に炊いたのが、生姜ご飯だった。
「あ、おいしい」
ピリッとした生姜は、だしと一緒になるとじんわり優しい味になる。ほのかな風味が付いた生姜ご飯は目覚めたばかりの胃に静かに収まっていく。
イメージとしては、生姜の千切りを炊きこんだご飯だと思っていたが、栗原はるみのレシピを見つけ、それに忠実にまず炊いてみることにした。
出汁はいただいた極みだしできちんととり、油揚げは5㎜角に切って湯通しし、洗っておいた新米1合にいつもと同じ水の量で出汁を入れ、薄口醤油大さじ1、味醂大さじ1/2、酒大さじ1/2を混ぜて油揚げをのせて普通に炊く。
ここはイメージとは違ったのだが、生姜はみじん切り。そして炊き上がってから混ぜる。
体を温めるためには炊き込む方が効果的だろうが、ピリリとした辛さは炊き上がってから混ぜた方がしっかり感じるだろう。
さすが栗原はるみと思ったのは、1合に生姜のみじん切り大さじ1/2~2の分量。
辛いもの大好きなわたしは、もちろん大さじ2入れ、ピリリと辛く仕上げた。辛いものが苦手な人には、ちょっと辛すぎるくらいのピリリ加減だ。
生姜は辛いけれど、身体をほっこり温めてくれるところがまたいい。
ひとりご飯の食卓で、森宮さんと優子の食卓を思い、誰かのためにご飯を作り、ともに食べることの温かさを思った。
そして森宮さんを模し、葱の小口切りを薬味に散らした。
土鍋で1合分だけ炊き、生姜を混ぜたところ。
生姜の香りが鼻をくすぐる~
極みだしの残りで、冷凍しておいたエノキの卵とじを作りました。
ここは栗原はるみにはない、森宮レシピ。葱、合います。
☆シミルボンサイトで瀬尾まいこ特集を連載しています。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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