片づけコンサルタントのミコが活躍する『おしゃべりな部屋』のROOM4「無口な子供部屋」に、印象的なエピソードが載っていた。
紫門早織は、就職を機に実家を出ることにした。
その引っ越しのための片づけなのだが、作業しているうちに母親の由希子が選んだモノに囲まれて暮らしてきたことが判る。
「ああ、これも捨てちゃうの?」
由希子さんはさらに手放す山から、白いシャツワンピースを取り出して広げる。
「あ、ごめんなさい」
すかさず早織さんから謝罪の言葉が漏れた。
「ひどいじゃない早織。これ、わたしが着ていたお気に入りを譲ったのに」
ミコは、母親に部屋から出て行ってもらうよう声をかけた。
捨てるモノを家族に見せてはいけない。
子供が捨てるモノの山を見るのは、親にとってとてもストレスなこと。自分が買い与えたぬいぐるみや服が処分されていくのは、自立や成長を感じて喜ばしい反面、どうしても寂しく感じてしまう。
母親にもらったモノを捨てられずにいる早織に、ミコは以前の自分を思い出す。
かくいうわたしも、かつては自分の服を妹にあげていたことがある。けれども片づけの仕事を始めて気づいた。
わたしは「モノをあげる」という善意を装いながら、「モノを捨てる」という罪悪感を妹に押し付けていただけだった。
「モノをあげる」という”良いこと”に思える行為も、もらった方の気持ちをよくよく考えなければ、ただの押し付けになる。
自分自身にすら、”良いこと”だと偽ることができるだけに、陥りやすい落とし穴だ。
モノを大切にする気持ちは大切だけれど、それを自分のなかできちんと整理しながら断捨離することはもっと大切だ。偽りの善意こそ、捨てなければならない。
水色の格子柄の表紙にしたのは、整然としたイメージからでしょうか。
『三千円の使い方』の原田ひ香オススメというのも、購入理由になりました。
ROOM4は、紫の部屋でした。
母、由希子と早織。ただでさえ、もらったモノって捨てられないケースが多いですよね。
お気に入りのアメジストのペンダント。けっこう、あっちこっちに置き忘れて、したいときにかくれんぼしていることも。ミコ曰く。
モノに対してねぎらう気持ちを持つこと。帰宅して服を脱いだとき、アクセサリーを外したとき、バッグをクローゼットに戻すとき、モノに「ありがとう」の一言をかける。日頃から自分を支えてくれるモノに感謝すると、それらは味方になってくれる。
これがなかなか、できないんだよなあ。
おはようございます。
お古をあげる、着てもらう。
善意を装いながら、モノを捨てる罪悪感をおしつける。
ああ、なるほどなア~と思いました。
ついつい、これ誰か着てくれたらいいなあって、思います。
相手が本当に、ありがたいと思うか、仕方なしにもらうか、難しいところですね。
一時、母がよく買った服をくれた時期がありました。
その時は、いいと思って買ったけど、顔映りが悪いとか、サイズが・・・とか。
重宝したものもありますが、そうでないものもありました。
母にしたら、その時は気持ちがとりあえず落ち着いたのでしょうね。懐かしいです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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