引き続き、原田マハを読んでいる。
ルソーとピカソが生涯抱えた秘密とは!?
若き二人の研究者の鑑定対決。リミットは7日間……!
などと謳われ、絵画ミステリーともいわれる、アートをテーマに置いた小説だ。
主人公のひとりは、ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウン。
1983年。上司のトム・ブラウンと名を取り違えられたのか、スイスの大邸宅に招かれる。そこには、ずっと研究してきたルソーの名作「夢」に酷似した絵「夢をみた」があった。
ライバルとして現れたのは、日本人研究者、早川織絵。もうひとりの主人公だ。小説は、彼女の現代(2000年)から始まっている。
持ち主の老人バイラーは、ふたりに真贋判定をさせ、どちらかにこの絵の権利すべてを譲るという。手がかりは、謎の古書。それを1日1章ずつふたりに読ませていき、7日目に鑑定させるという前代未聞の鑑定方法だ。
物語は、7章。
1章「安息日」
2章「破壊者」
3章「予言」
4章「訪問」
5章「夜会」
6章「楽園」
7章「天国の鍵」
絵が売れなくてチョコレートボンボンを売っていた頃のアンリ・ルソーから始まり、若き日のパブロ・ピカソとの出会いや、ルソーが描いた女性のモデルとなったヤドヴィガとの日常風景、後世に伝えられる”夜会”の様子などが気どらない文章で綴られていた。
美術に詳しくないわたしには、どこまでが史実でどこからがフィクションなのかわからない。だから物語を、楽しむことに集中した。
それが功を奏し、ミステリーとしても恋愛小説としても、存分に楽しむことができた。こういう読み方をおすすめしたい、絵画(恋愛)ミステリー小説である。
そして、そっと本を閉じ、思った。
アンリ・ルソーを観に行こう。
調べれば、日本にもいくつかの美術館に所蔵されていた。
2010年から2011年にかけて「小説新潮」で連載した小説だそうです。「夢をみた j'ai rêvé」を改題。
私が原田マハの小説を初めて読んだのが「楽園のカンヴァス」でした。
アンリ・ルソーの表紙に魅かれて手に取りましたが
冒頭が大原美術館だったことから、たちまち夢中になって読み終えました。
「風神雷神」は上下2巻で読みごたえがあり
美術時代劇というのかな?「でーれーガールズ」のように映像化をしてほしいと思いました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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