利尻・礼文を旅して、湊かなえ『山女日記』の「利尻山」を読み返した。
ひとりひとりは雨男雨女でもなんでもないのに、家族でイベントとなると必ず雨が降る一家に育った姉妹の確執を描いたストーリーだ。
姉に誘われて、妹の希美は利尻登山をすることになったが、やはり雨。希美の気持ちも、雲行きが怪しくなってくる。姉にコンプレックスは持っているが、自分の生き方を否定されるのも違うと思っていた。
医者の妻となり、裕福な暮らしを手に入れ、小学生の娘を育てる母親でもある姉。
かたや希美は、翻訳家として仕事をすることをあきらめ、実家の玉葱農家で働いている。結婚もしていない。
姉は、そんな妹に対して心配もあるのだろうが、ストレートに逆なでするような言葉を投げつける。
叔母が亡くなったときも、そうだった。
好き勝手に生きてきた人は、死んでも姪っ子に迷惑がかかるなんて思ってもなかったんだろうね。それでも、ちゃんと仕事をして葬式代くらいは残しておいてくれたのはえらいと思うけどね。結婚もしていない、仕事もしていない、死んだら死にっぱなし、なんて最低でしょ。
姉はなぜ、利尻登山に自分を誘ったのか。
また、小言か。今度は、何を突きつけられるのか。どうせわたしを見下している。
姉とふたり雨のなか歩きながら訝る希美に、意外な告白が降ってきた。
空は晴れていなくても、気持ちが晴れるラストが待っていた。
「晴れた日は誰と一緒でも楽しいんだよね。でも……」
ちなみに夫とわたしは、ふたりとも晴れ男晴れ女だと言っていたのに新婚旅行は雨から始まった。家族は長く一緒に過ごせば、晴れるときもあれば土砂降りの日だってあるのだ。
雨具を着て歩いた霧雨だった「姫沼」です。
幻想的な風景でした。
雨に飾られた蜘蛛の巣が、揺れていました。
倒木には、苔や草花の新しい命が芽吹いて。
調べてもよくわからなかったけど、ミズナギドリの種類かな?
こちらもわからなかったけど、グミの種類だと思います。
雨なりに楽しい散策でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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