秋に、北側の庭木を切ったので、リビングの窓から八ヶ岳がよく見えるようになった。それと同時に、南側のウッドデッキに出る窓にも、八ヶ岳が見えるようになった。
窓ガラスに、映り込んでいるのである。
まるで家のなかに、八ヶ岳が”居る”かのように見える。
”居る”かのように見えて、ハッとさせられる。
よく晴れた日には、いつも映り込んでいるのに、何度も驚いてしまう。
「わ、そこに居たの?」と。
動くものならまだしも、そうではないものの映りこみに驚かされるのは、たぶん八ヶ岳が桁外れに大きいからだろう。大きさだけではなく、動かずとも存在をアピールするだけのものを持っている。そんなふうにも感じる。入りきるはずもない”家”のなかに”居る”のだから、その感覚は、当然とも言える。
八ヶ岳颪吹くこの土地に家を建てたとき、地もとの人たちには呆れられた。
「八ヶ岳が見える場所=八ヶ岳颪が吹いてくる場所」ということを、みなよく知っている。
童謡にあるような「ぴーぷー」という音そのままを響かせて、八ヶ岳颪は吹きすさぶ。家は、地震かと思うほど揺れ、隙間風が肌に冷たくあたる。
それでも、23年ほどが経ち、ここで暮らしてよかったと静かに思う日々である。
きのうの朝、リビングの窓から見た八ヶ岳連峰です。フクロウのシールは、バードセイバー。野鳥が窓にぶつかる事故を防ぐために威嚇しているんです。
それが、こんなふうに南のウッドデッキ側の窓に映り込んでいて、知っているのに何度もハッとさせられます。
2階のキャットウォークから撮った八ヶ岳。
肉眼で見ると、こんな感じに見えます。
左から、阿弥陀岳、赤岳、横岳。
左から、編笠山、権現岳、阿弥陀岳。
こちらは、夕焼けに染まる八ヶ岳。4時半くらいでしたが、15分ほどですぐに赤みはは消えていきました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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