今シーズン初めて、おでんを煮た。
理由は、大根を一度に3本もらったから。
なぜ、理由などあらたまってかいたのかといえば、『俳句歳時記・冬』のおでんの句に惹かれたからだ。
おでん煮る新らの杉箸割りたくて 鈴木八洲彦
これを使いたいから、何かを作る。
男性が読んだ句だが、主婦あるあるだ。
買ったばかりの卸し金を使いたくて大根を卸すとか、百均の「ゆで卵の殻がツルンとむけるグッズ」を試したくて卵を茹でるとか。
だが「杉箸」というのが、かっこいい。
「割る」のだから割り箸なのだろう。ちょっと贅沢な、しかしそこまで高価でもない杉の割り箸。
おでんを食べるときに木の匂いはするのだろうか、などと連想がふくらむ。
もうひとつ、気になった句。
夫あらば子あらばこそのおでん種 角川照子
子供たちが巣立っていき、おでんから姿を消した”おでん種”がある。
はんぺんと竹輪麩だ。
夫もわたしも、そこまで好きな種ではないし、もともと大鍋で煮るから何日も食べることになる。スリム化するところはしなければ、との流れだ。
食べることは、日々なくならない。そして、変化してもゆく。
きっとキッチンには、俳句の種がそこらじゅうに潜んでいるはずだ。
夫婦ふたりなのに、大鍋で煮るおでん。
「おでん」は、冬の生活の季語です。傍題は「関東煮(くわんとだき)」。
農家さんが玄関に置いていってくれた大根を、煮ました。このあと時間差でもう一本、夫がもらってきました。
大根が、大きい! 太い!
レンコンと三つ葉のツナサラダを添えた夕餉。
翌朝も、もちろんおでんです。
何度もかいていますが、我が家のおでんの卵の食べ方。
ご飯にかけて、いただきます。
百均の「ゆで卵の殻がツルンとむけるグッズ」です。卵に穴を開けてから茹でると、ツルンと剥けます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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