「白雪ふきん」に続き、夫婦(めおと)の椀を、新しい年を迎えるにあたり新調した。長く使っている椀の漆塗りが剥げてきたのである。
東京に出た際などにもあちこち見て回ったのだが、結局、たまに行くショッピングモールで気に入ったものを見つけることになった。
東京の百貨店の漆塗りの椀は、手が出ない値がついたものが多く、安価なものはプラスチックだった。
幸せの青い鳥よろしく、近くにあったのである。
縁があった椀は、欅(けやき)の椀だった。
欅か。と一瞬、躊躇したのは、生に近い欅の匂いを嗅いだことがあったから。これがたまらなく臭いのだ。
けれど無論、椀になった欅は匂うことはない。
「硬く丈夫で木目も美しい」のが特徴で、特に椀には多く使われるという。
赤松の柱や梁に囲まれ暮らし、檜の床板に寝転び、栗のカウンターに器を置き、米松のテーブルで食事し、外壁の杉板にペンキを塗る。様々な木々に囲まれていることをあらためて思う。
欅の椀。新参者を、家のなかの木々たちは、快く迎えているようだ。
米松のテーブルで撮った写真には、木目はうっすらとしか写りませんでした。
栗のキッチンカウンターで撮ると、くっきり。この木目が気に入りました。光の加減かな。カーブもいいでしょう?
ある日の朝ご飯。
ちょっと大きめで、でも大きすぎないサイズが、使ってみていい感じです。
また、ある日の朝ご飯。光の調節がうまくいかず暗く写った1枚。お椀、濃い臙脂に見えますね。
食べ始めてから、あ、写真! と撮った1枚です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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