洗濯物の干し方は、みな同じようでいてじつはけっこう違っている。
そんなにこだわりはない方だと思うが、それでも夫とも娘とも干し方は違う。だからといって、こうしなさいとも言わない。よほどぐちゃぐちゃだったり、裾が床について汚れたりしない限りは、それぞれが好きなように干せばいいと思っている。
ひとつだけジンクスのようなものがある。夫婦ふたりになってから、夫の洗濯物を外側に、わたしの洗濯物を内側に干すようになったのである。
女が爪を伸ばして身を守るような時代ではなくなったが、外泊が多い夫が、留守の日も家にいるかのように見せるためだ。
そこまで深刻に考えてのことではない。ジンクス、というのがぴったりくる程度のことだ。
それを、夫が入院していた1週間、不意に思い立って逆転させた。
わたしの洗濯物を外側に、夫の洗濯物を内側に干した。自分の方が、守る立場にいるような気がしていたのだ。
さて。夫も元気になり、いつものように洗濯物を干していたら、物干し竿をかけるフックが柱から外れ、洗濯物が全て落ちた。もともと柱が傷んでいて、大工さんに修理を頼んでいたところだったので、ああ、とうとう、と思っただけでさほど驚かなかったが、こんな言葉が口を突いて出た。
「ふりだしに、戻る」
夫に守ってもらって、夫を守って、物干し竿も、フックも、柱も、洗濯物たちも、たぶんがんばっていたのだ。
物干し竿をひっかけるフックがとれてしまったウッドデッキの柱。
さわぐちけいすけの『人は他人』にも、こんなシーンがありました。
これはまた、珍しいパターンですね。
洗濯物の干し方、よ~くわかります。
特に強いこだわりはなくても、主婦やっていると、何となく自分の干し方ってのも出来てきますよね。
娘二人の洗濯物を取り入れると、それぞれの干し方の個性ってのがよくわかります。
姉妹や家族であろうと人は他人ですね。(笑)
そして干す手伝いをする時もあるので、その時はその干し方に合わせるようにします。
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ジンクス的な事も、共感出来ます。
でもほんと、ジンクスをちょっと変えてみる事や、振出しに戻るって思える気持ちの柔軟さ、みたいな事が、生活をちょっと楽しくするんだって最近思うんですよ。(^^)/
ユミさん
ありますよね~洗濯物の干し方。
ほんと、家族でも人は他人ですね(笑)
娘さんの干し方に合わせて干すユミさん、素敵です。
思いやりを感じます。
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暮らしのなかの小さなジンクスって、自分でも気づかないような些細なことがけっこうあったりしますよね。
たしかに、発想を変えてみたり、振出しに戻れる気持ち、柔軟さって、大切ですね。わたしも大切にしたいと思います。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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