神戸から帰ると、玄関脇に咲くアナベルが2本折れていた。
大きく立派に咲いたアナベル。日々大きく花開いていく自分の重さを、細い茎がやっとのことで支えていたのだろう。
雨粒をまとい、重みが増し、力尽きて折れたのだ。
「添え木が、必要だったのか」
思い出したのは、友人の話だ。
フルタイムで働きながら、幼子2人の母でもあり、夫の帰りはいつも深夜だった彼女は、それでも食事は栄養のバランスを考えて、手作りにこだわっていた。
「よし、今夜も完璧」
そう思って、子供たちを食卓につかせ、ご飯をよそおうと炊飯器を開けた途端、愕然とする。スイッチを押し忘れた釜のなかには白い米がただ静かに水に沈んでいた。
「それで、もう折れちゃった」
友人は、何年も前のことを笑って話した。は、
「完璧に手作りしようなんて、ムリ。適当に手を抜かなくちゃってわかったんだ」
彼女はその後、仕事も時短にした。それで何かを失くしたかもしれないが、失くさなかった大切なものもあったはずだ。
自分に課した過重な重みは、ほんの小さなきっかけでいとも簡単に折れてしまう。頼りになる添え木があったなら、話は別だが。
折れたアナベルは、せっかく綺麗に咲いたのだからと、花瓶に活け居間のテーブルに飾った。
義母は華道の先生だったが、わたしにはそのセンスはない。なので、小さな野の花をトイレに飾るくらいにしている。
だから思いのほか、部屋が華やいだ。
たまにはこうして、花を飾るのもいいものだ。
折れていたアナベルに、森の木の枝を合わせて活けました。
神戸に帰省しているあいだに、カレンダーは7月に。YasuoMaedaカレンダーは、モンサラーシュからの帰り道に立ち寄った小さな村の風景です。
「後半戦に入る日」ですね。がんばるぞー。
でも翌日は「自分をあまやかす日」でした(笑)
トイレのゴッホのカレンダーは「ローヌ川の星月夜」。
トイレには、庭のノコギリソウを活けました。
こんにちは。
今日は曇りでとても涼しい一日でした。
我が家のアナベルも雨で頭が重くなり、何本もお辞儀をしてしまい、
何本か切って飾りました。
さえさんのお宅の花瓶、切子ですか?とてもきれいです。
アナベルって白ですが小さなお花がたくさん集まって咲いているのでレースみたいでとてもきれいですね。
神戸行きお疲れさまでした。
お義母様も助かったことでしょう。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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