リハビリ施設に入所していた母の移転先が決まり、東京へ行ってきた。
実家近くで暮らしている弟が、自分がいつでも行ける場所をと家から徒歩3分の老人ホームを探し、手続きを進めてくれていた。
府中に住む妹も来て、久しぶりに弟妹と3人揃う。彼女は8つ年下で、今もフルタイムで働いているため、なかなか日にちの調整が難しかったのである。
新しく入所する施設は、子供の頃に徒歩や自転車でよく遊びにいった「見次公園」のすぐ近くにあった。駅から歩くと、公園内を通る方が近道だ。
子供の頃には「おじさんたちが釣りをしている公園」というイメージを持っていた。大きな池と広い敷地の長閑な森に囲まれた公園で、ただ走り回って遊んだという記憶しかない。
けれど、40年以上経って目にした「見次公園」は、思いのほか小さかった。
大人になって小学校へ行ってみたら、校庭が小さく見えた、という”あれ”である。見ていた自分が小さかったからにほかならない。
そのすぐ近くに、毎年のように初詣した「熊野神社」があり、参拝してきた。
こちらの方は、古びた小さな神社というイメージが強かったが、40年以上の経過を思わせない立派な神社だった。
子供の頃に作り上げたイメージというものは、当てにならないものだ。
入所する施設は、リハビリ施設とは違い、個室でのびのびと暮らせそうなところだった。来月から、母の新たな暮らしが始まる。
雨の見次公園。わりとまん丸い池だったんだな~とあらためて思いました。
え、雨なのにボートに乗る人が、と思ったら。
公園を管理しているスタッフさんだったようです。
こんなに立派な鳥居だったっけ、と思った熊野神社。
狛犬さんに、挨拶をして。
百度石があったことも知らなかった。
二礼二拍手一礼。母が新しい環境で、少しでも楽しいことや、ささやかなよろこびを見つけて暮らせますように。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。