神戸から戻ると、庭の茗荷が顔を出していた。
茗荷を刻んでいて、そういえば義父は茗荷が苦手だったと思い出す。
数年前、我が家を訪れたとき、具だくさんの味噌汁に喜び、おかわりしてくれた。だが茗荷をのせると、椀を出す手は動かなかった。
茗荷が苦手だとは言わなかったが、わたしのなかでは義父の味噌汁には茗荷は入れないというルールが定着した。
一週間前に、その義父を見送った。
入院してからも、オリンピックを楽しみに観戦していたという。
葬儀では、好きだった向日葵の花に囲まれて、穏やかな表情で眠っていた。
にぎやかな人だったので、「静かやな」「何も言わへんな」などとみな口々に言っていた。
毎日牛乳を飲み、体操を欠かさず、常に健康を保とうとしていた義父。
義父が茗荷が苦手だったことは、たぶん、わたしと義母のふたりだけしか知らない一面だ。
出会った人ひとりひとりに、そんな様々な顔を見せ、旅立っていった義父。91歳だった。
きれいに花が咲いていました。
お昼の冷しうどん。薬味は、生姜と茗荷です。
胡麻油で炒めた茄子だけの味噌汁に、なくてはならない薬味も茗荷です。
こんにちは~。
夏野菜がいちばん美味しい時ですね。
夏になると祖母が茄子のお味噌汁を作ってくれていたのを思い出しました。
先にゴマ油で茄子をいためてからお出汁を入れるのかな?
想像するだけで美味しそうです。
茄子も茗荷もあるので作ってみます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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