今年1月のことになるが、東京の友人たちと新年会をした。
前の年はお泊り女子会で盛り上がったのだが、みなそれぞれに忙しく予定が合わないまま年を越し、それでもみんなでおしゃべりしたいよねと、集まった。
4人分のマスクを作りながら、そのときのことをなつかしく思い出していた。
友人が予約してくれたのは、上野にある「水月ホテル鴎外荘」。
文豪、森鴎外が執筆に使っていた「舞姫の間」が今も当時のたたずまいのまま残されている鴎外ゆかりの宿で、日帰りだが、ランチと天然温泉入浴がセットになっているという。
天然温泉は、檜造りと大理石風呂があり男女日替わりで交代になる。その日は檜風呂だった。カルシウムやラジウムなどを含んだ重炭酸ソーダの天然温泉で、厳冬期のことでもあり心底温まった。いい湯であった。
同じような年ごろの4人。それぞれに悩みも心配ごともある。
親のこと、子どものこと、家族のこと、仕事の悩みもある。それに加え趣味や今好きなことや、ともに過ごした十代から二十代前半にかけての思い出話なども散りばめられ、話は尽きない。
「水月ホテルで、会えてよかったね」
グループLINEでやりとりしながら、たったの3か月前のこととは思えず、呆然とする。水月ホテル鴎外荘も、今は閉まっているらしい。
気の合う友と会い、何でもないことをしゃべって笑う。
それが、いかに大切なことだったのか。
今、失くしてみてあらためて身に沁みている。
次に揃って笑いあえるのは、いつだろう。楽しみに待つほかない。
水月ホテル鴎外荘です。まずは、天然温泉に入って。
畳の個室で、鴎外懐石ランチをいただきました。
和の、手が込んだお料理ばかり。帰り車だったので、ビールが飲めなかったことだけが悔やまれる(笑)
目にも楽しく美味しくて、おしゃべりもはずみました。
えっ、ビーフシチューも出てくるの?
お腹いっぱいいただいて、みんなでのんびり寝っ転がったりして。
それでも話足りなくて、帰り道ハーブティを飲みながらまたおしゃべりしました。
こんにちわ
森鴎外ゆかりのお宿のこと、先日ニュースで見ました。
予約客が激減で、閉館されるとのこと・・。お庭や、お部屋がとても風情がありましたね。
さえさんは、お友達とお泊りになったのですね。
あまりの変わりように、数か月前の事でさえ、懐かしくもありますね。
このお宿は、どこかが引き継いでまた再開されるようなことを、そのニュースでは言っていました。
またいつか、お友達と自由に会って、楽しく時間が過ごせる時がきっとやってきますよね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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