サラマンカは、世界遺産の街、学生の街であると同時に、豚肉の街だった。
標高が高く、養豚に向いた土地だという。
どのバルをのぞいても、レストランのメニューを見ても、「ハモン・イベリコ」というワードだけは簡単に見つけられた。
観光客向けのパニーニのようなイベリコ豚を豪快に挟んだサンドウィッチも、そこここで売られている。
そんな観光化された中心街から徒歩20分ほどのところに「Van Dyck(ヴァン・ディック)通り」がある。通称タパス通りと呼ばれるタパスバルが集まった路地だ。
ガイドブックなどでは取り上げられることのない地図の欄外にあるこの通りを、『地球の歩き方・スペイン』は、小さくとりあげていた。
ネットでも「サラマンカ」「観光」で調べ尽くしたつもりだが、記載していたサイトはただのひとつだけだった。
今回、サラマンカを調べるのはわたしの担当だった。
ネット検索を何度も繰り返し、旅のしおりも作った。Van Dyck通りも、情報は少ないが入れておいた。
そこからは、夫の出番だ。
方向音痴人間世界遺産に登録されるのもまもなくというわたしが、辿り着けるわけがない。(また反対に行こうとした! と何度も指摘された)
そして彼は、日本でもそうだが海外を歩いていても飲み屋選びの鼻が利く。
歳を重ねふたりさらに、得意、不得意がはっきり出てきたように思う。
切符を買うときにも、下調べは夫、スペイン語の清書はわたしがする。(シニア割引パスを使うとネットではうまく買えなかった)
英語は夫に任せて、わたしは短い言葉だけだがスペイン語を使う。おかわりくださいという意味の「ポンガメロミズモ」は、Van Dyck通りでもけっこう受けた。
9年前、サン・セバスティアンでバルを梯子したときのように何軒も飲み歩けるほど若くはなくなったが、Van Dyck通りは明るく気持ちよくわたしたちを迎え入れてくれた。豚肉のたまらなくジューシーな匂いとともに。
サラマンカは、世界遺産の街であり、学生の街であり、豚肉の街であり、そして、タパスバル飲み歩きの街である。
ヴァン・ディック通りのビアホール「Slainte」で。
海老の串焼きと、メキシカン風焼き鳥。
この通りの名がついた「Van Dyck50」で。
豚肉の串焼きと、豚バラサンド。
これ、と指さすと焼いてくれます。左が「セルド(豚肉)」右が「ポジョ(鶏肉)」
焼き鳥を指さして「ポジョ」というと、スペイン語、よく知ってるねとうれしそうにカウンターの親父さん。
カウンター席は、いろいろなものが見えて楽しい!
マヨール広場近くの「Maison las Conchas」で。
カウンターに、タパスがいろいろ並んでいました。
やっぱり肉のタパス。気軽で美味しいのが、いちばん。
マヨール広場近くのハモン・イベリコのお店。ブタさんが。
ドアストッパーも、ブタさん。可愛い~♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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