釣り好きのご近所さんに、福井で釣ったという鮎をいただいた。
せっかくだからと、夫が炭火を起こし焼いてくれた。
鮎は、夏の季語だそうだ。
鮎くれてよらで過ぎ行く夜半の門 蕪村
「若鮎」「小鮎」は春の季語、「落鮎」「錆鮎」は秋の季語。
釣りには詳しくないので解禁日などよくわからないが、3つの季節で食卓に上がる、むかしから親しまれている川魚ということなのだろう。
この地に越してきて、鮎釣りは、囮を使う「友釣り」という釣り方をするのだと知った。
釣り具店などに、幟(のぼり)が立つからだ。
「あゆ」「おとり」「友釣り」といった、大きな文字のわかりやすい幟がはためくと、鮎釣りが始まるのだなと漠然と夏を感じていた。
自分のテリトリーを守る習性が強い鮎は、縄張り内にほかの鮎が侵入することを嫌い、追い払おうとする。そこを引っかける釣り方を「友釣り」という。
鮎にとってはおもしろくない話だろうが、「友」と「囮」の2つの相反するワードに、日本語の妙というかユーモアを感じてしまう。
たぶんそうやって友釣りで釣ったのだろう鮎を、塩を振り炭火で焼き、堪能したのだった。
黄色い斑が、鮎独特ですね。
月のいろして鮎に斑もひとところ 上村占魚
洗って、ペーパータオルで水分をとって。15㎝~20㎝くらい。
バーベキューセットで炭を起こし、焼きました。
写真だと美味しそうに見えないかもですが、美味しかったんです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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