『大家さんと僕』が、2冊目にして完結した。
芸人であるカラテカの矢部と、間借りした家の1階で暮らす上品な老婦人大家さんとのふれあいを描いたコミックエッセイの続編だ。
矢部はアラフォー、大家さんは80歳代後半で、50歳近くの年齢差がある。
そのジェネレーションギャップをおもしろおかしく描いているのだが、それがふんわりと温かい。矢部の大家さんに対する目線がやわらかで思いやりに満ちているからだ。
大家さんが現代の常識となっていることを知らなくても、決してバカにしたりせず、新しい驚きとして自分のなかに取り入れていこうとする。
たぶん矢部は、〈他人(ひと)〉を自分と違う〈人間(ひと)〉として尊敬し接するという素晴らしい資質を、これまで生きてきたなかで培ってきたのだろう。
4~8コマ漫画なので、くすりと笑ったり、わっはっはと声を上げたり、じーんとしたり、ときには涙しながらするすると読み終えた。
起承転結。ボケとツッコミ。様々な種類の笑い。
その技は、お笑い芸人の成せるものだ。
大家さんとの別れが迫るなか、〈僕〉は、大家さんのことを描き続けていた。
その姿にかけた、先輩の言葉が素敵だ。
きびしいこと言うみたいやけどな…、枯れた花は咲かない。
でもそこから学べること、美しさはたくさん…ある。
…大家さんはただ下ってるんやない。
ゆっくりと景色を楽しみながら下ってるんや。
急いだ登りでは見えなかった景色を違う角度からゆっくり見てるんや。
大家さんが入院した病院に〈僕〉が見舞いに通っていると、親族の方ですかと訊かれる。答えあぐねていると、大家さんが答えた。
血のつながらない親族
人と人とのつながりは、血や戸籍や年齢や性別や、あらゆるものを乗り越えて成り立つものなのだとしみじみと感じた。
ふたりが座っている〈○伊〉は、大家さんが大好きな伊勢丹のマークです。
大家さん、弓弦くんが好きなんだね。
2巻で完結。淋しい。大家さんのお顔自体、優しく描いているよなあ。
こんにちわ。
「大家さんと僕」
気にながらも、さえさんの感想で、読んでみたくなりました。
それで、今日本屋さんで、5ページほど読んでみました。
とても面白いですね~。最初の出会いだけでも、くすくすと笑えて・・心がすっとしました。
そうですね。矢部さんだから、この大家さんと寄り添えたのでしょうね。
違う他人と尊敬して接する資質。素晴らしいことですよね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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