WOWOWの連続ドラマWで、4話に渡り放送されたドラマ『落日』は、4年前に読んだ湊かなえのミステリー小説だ。
そのときの感想は、こちら。
15年前に起きた〈笹塚町一家殺害事件〉の真実を、若き映画監督と新人脚本家が追う物語。
〈cast〉
長谷部香【北川景子】国際映画祭で特別賞を受賞したばかりの新進気鋭の映画監督。子供時代に、一家殺害の家族とアパートの隣室で暮らす。
甲斐真尋(まひろ)【吉岡里帆】ドラマを1本かいただけの新人脚本家。一家殺害事件のあった笹塚町で生まれ育った。
立石力輝斗(りきと)【竹内涼真】〈笹塚町一家殺害事件〉の容疑者で、死刑囚。
〈story〉
仕事につまづいていた真尋に、今をときめく映画監督、長谷部香から脚本のオファーが来た。〈笹塚町一家殺害事件〉の真実を探り映画にしたいという。
15年前。引きこもりの兄、力輝斗が、高校生の妹、沙良を自宅で刺殺し、放火した事件だ。ふたりの両親も、この火事で亡くなった。
香は、母親から虐待を受けていた子供時代に、アパートで立石家と隣の部屋で暮らしていたことを打ち明ける。そのとき同じく虐待を受けていた立石家の子供と、心を通じ合わせた瞬間があったことも。
人は、ステレオタイプな憶測で人を判断する。誰もが、力輝斗の行動を憶測した。明るくハツラツと高校生活を楽しむ妹に、引きこもりの兄が嫉妬し、いざこざが起きたのだろうと。絶望して両親も巻き添えにしたのだろうと。
けれど真実は、思いも寄らない方向へと、観ている者を誘導していく。
力輝斗が夕陽を見た灯台へ。海へと続く道へ。そこを歩いたのは、彼だけではなかったという真実へと。
小説の感想にも「読後感がよい」とかいたが、最終回のエンドロールが流れるのを目で追いながら、胸のうちがすっきりとするのを感じていた。
人間とは、ステレオタイプな憶測では測れないものであり、すべてがケースバイケースなのだ。
そんなひとつのケースと、日々違う色をした一度限りのサンセットを描いた、静かで切ないミステリードラマである。
北川景子は、大好きな女優です。NHKドラマ『しずかちゃんとパパ』の吉岡里帆も、個性が光る女優になりましたね。
あ、4年前に読んだ小説はすべて忘れていて、ラストまで楽しめました(笑)
☆画像はお借りしました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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