町内の「あけの農さん物販売所」で、新鮮な葱が売っていたと夫が買ってきた。
たしかに、持っただけで葱独特の匂いがする、眩しいほどに白い葱だった。根もとの部分が丸く太っている。旬の葱ならではだ。
「葱」は、冬の植物の季語。傍題に「一文字(ひともじ)」「根深(ねぶか)」「葉葱」「葱畑」などがある。
古名を葱(き)といい、一文字の名もそこから。
「根深」は、白い部分を地中深くに埋めて作ったため。関東地方の作り方だそうだ。
折鶴のごとくに葱の凍てたるよ 加倉井秋を
なるほど、青いところが折れ曲がって売られているのは、折り鶴に似ている。畑で折れ曲がって凍った葱を見て、詠んだのだろう。
白葱の光の棒をいま刻む 黒田杏子
光の棒。こちらも、言い得て妙だ。
また「蕪(かぶら)」も、冬の植物の季語。傍題に「蕪(かぶ)」「赤蕪」「蕪畑」などがある。
蕪洗ふ鞍馬の水の早さかな 赤塚五行
蕪は、洗う様子を詠んだ句が多いようだ。『俳句歳時記・冬』の11句のうち、冷たい水などの描写を入れると半数がそうだった。
風の日の水さびさびと赤蕪 長谷川久々子
その蕪も今では、ほとんど洗うことなく調理できる。
蕪は、春の七草の「すずな」でもあるが、原産は南欧やアフガニスタンだそうだ。
『俳句歳時記』を開くと、馴染み深い野菜たちの知らない顔を垣間見ることができる。
産直売り場でしか手に入らないような、大きくしっかりした葱でした。
フランクフルトとアヒージョにしてみました。
低温で、長めに加熱しました。
刻み葱が欠かせない我が家の定番料理は、焼き厚揚げ。
そして、うどん。
これも、「あけの農さん物販売所」にあった蕪です。
厚揚げと蕪のあっさり煮にしました。
『きのう何食べた』のシロさんの蕪サラダは、何度もリピートしています。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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