猛烈な八ヶ岳颪(おろし)が吹き荒れ、地震のように家が揺れる日がたびたびある。
「凩(こがらし)」「木枯(こがらし)」が冬の天文の季語だということは、知っていた。
では、「颪」はどうか。
あった。「北颪(きたおろし)」という、やはり天文の季語である。
山から吹き下ろしてくる空風。山の名を冠して、浅間颪、赤城颪、筑波颪、男体颪、伊吹颪、比叡颪、六甲颪などともいう。
『俳句歳時記・冬』に、八ヶ岳颪が載っていなかったのは少し淋しいが、「八ヶ岳颪」も傍題ということになるだろう。
寝られずやかたへ冷えゆく北下ろし 去来
共感する句だ。昔はもっと、家の構造も隙間風が思うままに入ってきたのだろうと想像した。
母が育った北海道の家では、朝、目が覚めると枕もとに雪が積もっていた、などという逸話もある。
「凩」は、冬の到来を告げる”初冬限定”の季語だそうだ。
木がらしや目指しにのこる海の色 芥川龍之介
「寒風」は、身に刺さるような寒い風のこと。
寒風や砂を流るる砂の粒 石田勝彦
「北風」は、傍題に「北風(きた)」「北吹く」がある。
北風に吹かれて星の散らばりぬ 今井杏太郎
冬の風の季語にもいろいろあり、また違った風情を身につけている。
まあ、これだけ季語があり、冬の風の句が詠まれているのだから、家が揺れるほど風が吹くも致し方なし、と思わざるを得まい。
以前『地球の歩き方』に八ヶ岳颪のことをかきました。そのときの写真です。こういう雲がのっかっていると、吹き荒れる兆候です。
こちらは、先週の八ヶ岳。
から風の吹きからしたる水田かな 桃隣
「空風」「空っ風」は、冬、関東地方に多い乾燥した強い季節風のこと。
夏には、田んぼの緑広がる場所です。
2階のベランダから見た、同日の南アルプス連峰、鳳凰三山。
カメラを下に向けると、夫の森です。たびたびフィトンチッドしています。
クリスマスイブの夕刻。
クリスマスプレゼントのような薔薇色の夕焼けを見ることができました。
2階のベランダから見た鳳凰三山。
アサヨ峰と甲斐駒ヶ岳。
夕焼けの句については、夏に記していました。「夕焼~夏の季語」
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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