久しぶりに、赤い夕焼けを見た。
「夕焼(ゆうやけ)」は、たしか夏の季語。なのに、久しぶりだった。
傍題は「夕焼(ゆやけ)」「夕焼雲」「夕焼空」。
「梅雨」の傍題に「梅雨夕焼」もある。
夕焼の中に危うく人の立つ 波多野爽波
「西日」も、同じく夏の季語だ。『俳句歳時記・夏』から。
西に傾いた太陽、またはその日差しのこと。晩夏のころには強烈なものとなる。部屋や電車の中に差し込む西日は、昼にも増して暑苦しい。
最近、夕刻に庭仕事をしていて、いかにも暑苦しい西日を浴びていた。外から見ると、西の窓には西日によってできた木の陰が揺れ、涼しそうに見えるのだが暑い。
歳時記にある「西日」の句は、室内のものが多かった。
垂直の梯子西日に書を探す 栗田やすし
当然だが、ほかの季節にも夕焼は見られる。
「春夕焼」(人を包むような柔らかさを感じさせる)。
一枚の硝子につづく春夕焼 高浦銘子
「秋の夕焼」(たちまち暮れていく淋しさを伴う)。
秋夕焼我が溜息に褪せにけり 相馬遷子
「冬夕焼」(空気が冴えて、鮮やかで美しい夕焼けが見られるが、すぐに薄れゆく)
手元まで闇の来てゐる冬茜 廣瀬町子
同じ夕焼でも、季節によってまるで違うし、見る人によってまったく違うのである。
2階のベランダから見た、西の空。
橙色と青が交じりあっていくようでした。
2階の北窓から見た八ヶ岳。
一瞬たりとも同じ色はない。夕焼けは変化し続けていきました。
翌朝。秋の雲を空に遊ばせて、気持ちよさそうな八ヶ岳連峰。夕焼けの次の日は、晴れですね。
頂きに神を祀りて山滴る 高橋悦男
雄大な八ヶ岳と美しい夕焼け、うっとりしますね。
こんな美しい夕焼けならずっと眺めていたいですね。
日暮れが早くなりましたね。
暑くても季節は進んでいますね。
波多野爽波さんの俳句大好きです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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