庭のヤマボウシが、咲いている。
今年は、どの花も例年より少し早い。
ヤマボウシの花は、空に向かうように咲くので、毎年2階のベランダから眺めている。
重い雨がたっぷり降ったときにだけ、まるで「見て、見て」とでも言うかのように枝を垂らし、1階のウッドデッキからも楽しませてくれる。
『俳句歳時記・夏』にあった句。
天心へ飛び立つかたち山法師 吉田千嘉子
まさに、空へと飛んでいきそうな”かたち”だ。
ところがじつは、白い花びらに見えるところは花を保護する葉「総苞(そうほう)」と呼ばれるものなのだとか。中心の黄緑色をした球状に集合した部分が本当の花なのだそうだ。
漢字でかくと「山法師」。
中央の花を坊主頭に、4枚の白い花びら(総苞)を白い頭巾に見立てて、比叡山延暦寺の僧、山法師のようだと名づけられたという。
花を見て、人はさまざま連想する。
僧侶のようだと。あるいは、飛び立ちそうだと。
雨に濡れた枝を垂らし、「咲いたよ」とわたしに告げているかのようだと。
先週、雨の日に枝を垂らし花を見せてくれたヤマボウシ。
きのう。雨上がりの朝に、2階のベランダから。
真ん中をつんと空に向けて、たしかに飛び立ちそうですね。
花びらじゃないっていわれても、花びらにしか見えませんね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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