タイトル通り、どの短編にも「怪しい人」が登場する、東野圭吾のミステリー短編集。
「寝ていた女」
映画『アパートの鍵貸します』よろしく、同僚に部屋を貸していた〈俺〉は、ある日帰宅すると見知らぬ女がベッドで眠っていることに驚く。
「もう一度コールしてくれ」
強盗し、警察に追われている〈俺〉は、”あいつ”の家が近くにあることに気づく。”あいつ”のひと声で〈俺〉の人生は、転落の一途をたどったのだった。
「甘いはずなのに」
新婚旅行でハワイを訪れた〈私〉と尚美。〈私〉は再婚で、娘を一酸化炭素中毒で亡くしたばかりだった。
尚美の首を両手で包んだまま、私は問いかけた。「君が宏子を殺したのか」
尚美は悲しげな目で私を見つめていた。口を開く気配がない。
「ストーブに灯油を注ぎ足したのは君だな。なぜそんなことをしたんだ」
「灯台にて」
子供の頃から、〈僕〉は佑介の引き立て役だった。そんな自分の殻を破ろうとひとり旅に出たが、佑介が絡んできた。
僕の頭にひとつの考えが閃いた。それは悪戯と呼ぶには悪意に満ちすぎていたが、僕の心を捕らえて放さなかった。
「結婚報告」
大学時代の友人、典子から結婚報告の手紙が届いた。ふたりの写真が同封してある。
「どうなってるの、これ」
そこに写っているのは典子ではなかった。
東京で暮らす智美は、連絡が取れないことを不審に思い、故郷の金沢で暮らす彼女のもとを訪ねるのだが。
ほか、「死んだら働けない」「コスタリカの雨は冷たい」など7編が収められている。
1998年に刊行された文庫本だけあり、カセットテープを買いに行くシーンがあったり、スマートフォンどころか携帯電話も登場しなかったりと、ところどころ、なつかしさを覚えた。
ちょうど旅した金沢での「兼六園」「近江町市場」などのワードには、シンクロニシティを感じたが、無論、北陸新幹線は開通しているはずもなく、彼女が乗ったのは「はくたか」ではなく特急「かがやき」だった。
個人的には、「甘いはずなのに」がいちばん好きで、東野圭吾はいいなあと再確認したのだった。

ブックオフで、月一度配信される100円クーポンとポイントでゲットした文庫本でした。ポイ活、続けています。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。