ブックオフのポイントでゲットした『11文字の殺人』は、東野圭吾の本格推理小説。1987年に刊行されているから38年前、昭和の時代が背景となる。
スマートフォンどころか携帯電話もないし、ネットで検索することもできない。
現代との違いは顕著だが、その時代を生きてきたわたしは、違和感なくその設定に溶け込むことができた。
主人公の〈あたし〉は、推理小説作家。
デートの翌日、恋人でフリーライターの川津雅之が殺された。彼は、何者かに「狙われている」と怯えていたのだった。
気が小さいのさ――あたしが覚えている、彼の最後の言葉だ。
そして〈あたし〉が譲り受けた川津の遺品から、何かが盗まれた。わざわざ部屋に忍び込んでまで盗まなければならなかったものとは、何なのか。調べ始めた途端、ふたたび殺人が起こった。川津と組んで仕事をしていたカメラマンの新里美由紀が殺された。
担当編集者の萩尾冬子とともに調べるうち、昨夏起こったスポーツクラブ主催のクルーザー事故が浮き上がってくる。乗船していた10人のひとり、竹本幸裕だけが溺死し、ほか9人は無人島に泳ぎつき助かっていた。川津と新里も、そのクルーザーに乗っていたのだった。
乗船していたのは、スポーツクラブ社長の山森卓也、妻、ほぼ盲目の娘、山森の弟でインストラクターの石倉佑介、従業員の金井三郎、クラブ会員の坂上豊。知人の古沢靖子。そして、死んだ竹本、殺された川津と新里の10人。
調べを進めるうちに、やがて第三の殺人が。
序章は、犯人の語りから始まる。
「無人島より殺意をこめて」
たった11文字の手紙だ。読み進めても読み進めても、謎は深まるばかり。犯人は誰か。動機は? クルーザー事故で何が起こったのか。
〈あたし〉は、生き残った彼らとともにクルーズ船の旅をすることになるのだが。
久しぶりに、わくわくとサスペンスフルな本格推理小説の醍醐味を味わった。

2011年にフジテレビ系列のドラマ「東野圭吾3週連続スペシャル」の第1弾『11文字の殺人』として放映されていました。解説は、宮部みゆき。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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