友人に誘われて『茶遊会』なるものに、初めて足を運んだ。
東京は築地の『うおがし銘茶』で、2カ月に一度、一週間だけ開催されているという。今回は、うおがし銘茶ブランドのひとつで煎茶の新茶「とてしゃん」の4つの産地「宇治」「知覧」「八女」「静岡」を飲み比べるというものだった。
「いい香り!」「香るねえ」
5階建てのビルの1階の扉を開けた途端、友人と言いあった。
ルールは簡単。700円の入場料を払い、5階から順番に回っていくというもの。
5階はギャラリーになっていて、今回は急須市が開催されていた。
「急須によって、お茶の味が変わるんだ?」
「小さい急須の方が、美味しく淹れられるんだね」
4階は「宇治」と「知覧」を説明を聞きながら、いただく。淹れてくださったのは、穏やかな雰囲気の男性だった。
「わたしは、宇治かな」
「そう? 知覧の方が、好きだった」
3階は「八女」と「静岡」を飲み比べた。若く明るい女性が淹れてくださった。
「静岡の苦味が、いいな」
「八女って、すっきりした味わいだね」
2階はカフェ風なフロア。そこで濃い玉露をいただきながら、産地のひとつに投票した。日本紅茶と紅茶ケーキも出していただいて、くつろいだ。
1階では、味わったお茶やほかにも、うおがし銘茶いろいろを販売していた。
茶遊会。その名の通りに、お茶で遊んで、楽しむひとときだった。
思えば、これまで日々飲んでいる「お茶」というものをないがしろにしていた。テキトーに淹れても、まあ美味しく飲めると思い、身を入れてこなかった。
珈琲には、鮮度までこだわっていたというのに。
たぶん「お茶」には「茶道」なるものがあり、自分には理解できないものが、闇の向こうにあるようなイメージを、知らず知らず持っていたのだ。
お茶を遊ぶという体験をして、難しく考えず、自分にできる範囲で、持てる分だけの知識で、自分なりに楽しめばいいんだと思えた。
「これから、我が家のお茶は、美味しくなります」
家に帰り、夫に宣言した。
5階のギャラリーから、スタート。「謹賀新茶」洒落が効いてる。
4階は「宇治」と「知覧」の飲み比べ。左手では左利きの人用の急須で淹れてくださいました。許可を得て写真を撮らせていただいています。
左が「知覧」のお茶です。右が「宇治」のお茶です。
3階です。笑顔の素敵な女性が淹れてくださいました。
左が「八女」右が「静岡」藍のコースターも素敵だけど、織物もいいな。
2階のカフェ風なテーブルで、玉露を飲みながら投票しました。
日本紅茶と紅茶とオレンジのケーキもついて、700円は安いよね。
築地の『うおがし銘茶』にて。20周年なんですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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