義母と、一度だけふたり旅をしたことがある。20年以上まえのことだ。
山口県長門市仙崎。金子みすゞの故郷には「金子みすゞ記念館」がある。ふたりともみすゞの詩が好きだと意気投合し、突然出かけることになったのだった。
いかがおいしい海辺の町で、着くなりふたり、いかの刺身でビールを飲んだことを思い出す。
義母は「いかたべたかい」という回文が好きで、そのときもそう言っては笑い、おいしそうにいかを食べていた。
嫁とわれ同じ意(こころ)に旅しつつ海近き家に昼餉たのしむ
まとめた歌集の「銀の海」というページに収められていた歌は、12首あった。
翼広げ仙崎湾を舞ふかもめみすゞもここに自在に生きし
義母は手術をした膝をかばいつつ、ふたりゆっくり海沿いを歩き、王子山へと登った。山と言うより丘ほどの場所で、舗装道路だったから歩けたのだった。
宿では、初めて義母の背中を流したことをなつかしく思い出す。

義母がその旅で購入した、金子みすゞ童謡集『海とかもめ』が実家にありました。

挟んだままになっていた、長門のカラーパンフレット。

童謡「王子山」に、”銀の海”という言葉が使われていました。この言葉に、ともに見た仙崎の海を重ね、共感したのでしょう。
木の間に光る銀の海、
わたしの町はそのなかに、
龍宮みたいに浮かんでる。

「わたしと小鳥とすずと」
みんなちがって、みんないい。
義母の、背中にしっかりと一本通った”芯”のようなものを思い出します。
お義母さまと、仙崎に行かれたのですね。
お義母さまにとっても、さえさんとの旅は思い出深いものとなっていたのでしょうね。
パンフレットも大切においておかれたのですね。
20年前ですか。お義母さまもお元気で旅をされていた時期だったのですね。
仙崎、私も行ったことがあります。
角島などを巡った日帰り旅でした。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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