先日大人数でバーべキューした際、取り寄せたサザエが残り、翌日、殻から出してバター焼きにしようということになった。
だが、出し方がわからない。こういうときのインターネット。YouTubeで「サザエのさばき方」を教えてもらった。
ナイフで蓋になっている部分を外し、あとは貝殻で手を傷つけないように気をつけつつ、穴に人差し指を入れ、穴の丸みに沿うようにくっついた貝柱となる部分を外していく。そうすると、あっけなく中身は外れ、とり出せる。簡単だった。
壺焼きにすると、慎重にやっていても途中で切れて奥の美味しい部分が食べられないことも多い。だから難しいものと決め込んでいたのだ。案ずるより産むが易しとはこのことだ。
美味しくサザエをいただきながら思い出したのは、末娘がイカのワタを抜くのが好きだったなあということ。人差し指を冷たい穴に差し込む感触が、イカのワタを抜くのと似ていたからだ。
「イカのワタ抜く?」
娘にいうと、すぐにキッチンに飛んできたっけ。
そしてもうひとつは、イカのワタを抜いたことのない友人の話。夕飯の準備も整い、一息ついていたらお姑さんが発泡スチロールいっぱいに入ったイカを持ってきたという。どうしたらいいのかわからず、困り果てたらしい。
今ならネットで、料理の基本くらいは調べられるけど、むかしはそうもいかなかった。
今もむかしも変わらないのは、食事の支度に手が離せないときに限って、外からのコンタクトがあるってことかな。
村上春樹小説の主人公は、パスタを茹でるたびに電話が鳴るし、現実にわたしも、うどんを茹でているときに玄関で話し込んでしまうことがままある。ラーメンが茹で上がる瞬間に、友人が泣きながら電話してきたこともあった。
こんなふうにするするといろんなことを思い出すのは、サザエがすんなりさばけすぎたせいだろうか。
海の幸も、山の幸と変わらず美味い、秋である。
おもしろいように、するりと殻から出てきたサザエたち。
バター焼きにして、醤油と粗びき黒胡椒で味つけ。
ふたりで3サザエ、ペロリとたいらげました。
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随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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