月1回ずつ2回、別々のエッセイサークルで勉強している。
集まる場所も違うのだが、どちらへ行くときにも通る道に、『ベーグル*いちか』がある。
特に金曜のクラスは、午前中の手話サークルからまっすぐに向かうので、途中でお昼を食べなくちゃならない。けれど食べ過ぎると勉強に集中できないので、これまではイートインのあるコンビニでおむすびを1つだけ食べたりしていた。
まえから気になっていた、けれど行くことのなかった店に、ふと立ち寄るときの心理というのは、どういうものなのだろう。ほんとうになんとなくいつものコンビニを通り過ぎ、『ベーグル*いちか』の駐車場に車を停める。たぶんその時点で、初めの一歩をその場所に踏み入れることができたということになるのだろう。ベーグルをひとつだけ買って食べる。そんな簡単なことにも、やはり初めの一歩は必要なのだ。
10種類ほどのベーグルとパンが並んでいた。自家製の天然酵母を使っているという。好みのスパイシータイプもある。ブラックペッパークリームチーズを選ぶと、すぐ食べるのならとトーストしてくれた。天然酵母ならではのしっかりした硬さと、もちもち感が絶妙のベーグルだった。
さて。今週のエッセイサークルの前にふたたび立ち寄ると、入口に小さな柚子が山のように積んであった。「ご自由にどうぞ」とある。
「これ、いただいていいんですか?」
「あ、どうぞどうぞ。実家に柚子の木があってたくさん生ってるんです。いくつでも持っていってください」
「ありがとう」
「はい。いつもありがとうございます」
まだ2度目なんだけどな、と思いつつ、たぶん来月のエッセイサークルの日にも立ち寄ることになるのだろうと確信している自分がいた。
そんなことで2日ほど前から、家に戻り玄関に入るなり、柚子の匂いがする。この季節保冷庫となる玄関に置いているからだ。風呂に入れるにはもったいないような小ぶりの可愛い柚子である。
『ベーグル*いちか』です。
先週は寒かったので持参したハーブティと一緒に車で食べました。ブラックペッパークリームチーズ。
今週は暖かだったので、テラス席で。
ウインナーマスタードベーグルと有機栽培の珈琲。
いただいた柚子です。今日は冬至ですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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