「でっかい蜘蛛がいる」
朝、ストレッチをする夫が言うので、料理の手を止め見に行くと、板壁にこげ茶一色の大きな蜘蛛が八方に足を伸ばしていた。
「ほう」
足の先を線で結ぶときれいな八角形になる、その姿は美しくもあり嘆息する。
「蜘蛛って、蜘蛛の巣と同じ形なんだね」
心からこぼれた言葉だったが、夫がこう返した。
「蜘蛛の巣が、蜘蛛と同じ形なんだよ」
どうしてこれまで、気づかなかったのか。たぶん毎日見ているモノのなかにも、気づいていなことが数えきれないほどあるのだろう。
蜘蛛をじっくり眺めたことは、なかったかもだけど。
蜘蛛の写真は撮れなかったので、きのうの雲を。
坂道を登る途中フロントガラスの向こうに広がっていた綿雲。
玄関で見上げた空。
山々と遊ぶ雲たち。田んぼがずいぶん緑濃くなりました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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