居間に落ちていた小さな石のかけらを拾い、ふと思い出した。
小学生の頃、15分ほどの道のりをよく石を蹴りながら下校した。
集団下校も通うべき塾などもなく、急ぐ必要は何もない。ひとりのんびりと石を蹴り、寄り道しながら歩くのが好きだった。普通に歩けばいいものを、何をやっていたのやらと今となっては謎の行動だ。
彼らは自らの意志とは関係なく、違う場所へと向かわなくてはならなかったのだなあと、子どもの頃歩いた川沿いの道に転がっていた石たちを思う。
そして今手のひらの上にある石も、庭に散らばった石たちも、これからどこへ行くかはわからないのかも知れないと。
気まぐれにひとつ拾って、外国に持っていくことだってできるし、海に沈めることも山のてっぺんに置いてくることだってできるだろう。
そういえばわたしも、アイルランドの石をひとつ持っている。
上の娘が旅行の土産にとくれた、ごく普通の平たい楕円の石にミミズクのイラストが描かれたものだ。
この石が、行ったこともないアイルランドに転がっていたのだと思うと、不思議な気持ちになる。
そしてまた、手のひらの上の小さな石を見やる。どこからどうやって来たのだろうかと。
アイルランドの石。
掃除していて居間で見つけたピラミッド型の石。1㎝にも満たない小さなものです。薪についていたのでしょうか。
庭の北側、薪置き場近くに敷いた砂利の道です。落ち葉と井戸端会議中。
色も大きさも形もそれぞれ。薪の屑も転がっています。
苔に埋もれた大きな石も。
こちらは、芝生のなかに飾りで埋め置いた石。
玄関の石の階段です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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