最近、ドーナッツを食べていない。
というのも数年まえから甘いもの苦手症候群に陥り、すっかり甘いものが食べられなくなってしまった。
ドーナッツの穴は相変わらず魅力的なのに、そこまでが甘くてたどり着くことができない。
ベーグルを食べてみたりもするのだけれど、やっぱりドーナッツの穴とは質のようなものが違っている気がする。
最近ご無沙汰しているせいなのか、ある瞬間にドーナッツの穴を感じるようになった。発見する、といってもいい。
人混みを歩くときだ。
周囲の人とのあいだにあるスペースに、ドーナッツの穴を見る。
パーソナルスペースが広いわたし故のことだろうか。
人との距離のとり方、パーソナルスペース。
その言葉は、実際の距離を表しつつ、人と人との心の距離感をも表している。
文化人類学者エドワード・ホールはその距離感を4つに分類した。
○ごく親しい人に許されるのは、0㎝~45㎝。
○手を伸ばせば指先が触れ合うことができる45㎝~120㎝。
○手は届かなくとも容易に会話ができる1.2m~3.5m。
○複数の相手が見渡せる3.5m以上。
駅のホームで電車を待ち並んでいるとき、人波に乗りながら歩くとき、空いた電車で座った人の前に立つときにも、ぷかぷかと浮くドーナッツの穴を発見する。
誰かがかじったドーナッツの穴が、ここにもそこにも、じつは浮いているのだ。
「ベーグル*いちか」のブラックペッパークリームチーズ。
東日本大震災のときに購入したドーナッツのアクリルたわし。
可愛らしいうえに使いやすい。ラスト1個になりました。
手話サークルのバザーで買ったアクリルたわし。可愛いし、使いやすそう。
ひとり多治見を旅したときに見つけたベーグル型の鍋敷きもあります。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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