はや5月。YasuoMaedaのカレンダーは、スペインはコルドバの写真だ。
9年前に旅したコルドバ。いちばんに思い出すのは、夕食をとったリストランテ「エル・チェラスコ」で、サーバントしてくれた男性が口にした言葉「Life is Fun」だが、もうひとつ印象に残っている出来事があった。
コロンブスが新大陸発見の資金を援助してもらうために王に謁見したという城「アルカサル」を観て歩いたときのこと。
塔の上で、英語圏の人なのかスペイン人なのかわからない女性が石のベンチで休んでいた。わたしも夫が写真を撮る間、日陰に入って休み、ぼーっと少し高い場所にとまる鳩を眺めていた。
そのとき、鳩が空へと舞い上がった。
と思いきや、空ではなくアーチ形の入口から塔の中へと入っていった。
「オゥ!」と、休んでいた女性。
「わあっ!」と、わたし。
思わずふたり顔を見合わせ、笑った。ふたりとも一言も発することなく、同じ気持ちでただ笑った。
「鳩ったら、なかに入ってどうするつもり?」
「迷子にならないのかしら?」
言葉はなくとも、一緒に笑い見合わせた表情で、気持ちが通じ合った。不思議な、そして爽快な気分になる一瞬だった。
そんな一瞬の出来事こそが、旅の醍醐味なのだと振り返る。
外国人の年齢は本当にわからない。あのときの彼女は、年上だったのか、年下だったのか。はたまた同い年だったのか。いったい今、どこの国で何をしているのだろうか。
どうか、穏やかに暮らしていますように。
この写真、どこで撮ったのかわたしはまったく覚えていませんでした。
YasuoMaedaのホームページはこちら → 「LIFE IS FUN」
鳩が塔のなかに巣を作っていた、アルカサル。
鳩の写真も撮ってありました。
ライトアップされた、イスラム教とキリスト教が混在した教会メスキータ。
photo by YasuoMaeda.
夕食をとったリストランテ「エル・チェラスコ」の看板です。洒落てる~
トイレその1日比谷花壇の5月は、百合でした。
その2は、ゴッホ「糸杉のある麦畑」です。グラナダでアルハンブラ宮殿の反対側の丘から眺めた糸杉を思い出しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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