平松洋子の料理エッセイに、日々影響を受け続けている。
ひとりの朝に、粥を炊いてみた。
米から炊くのは、初めてのこと。
『忙しい日でも、おなかは空く。』の「今日はうちにいたい」の章「お粥~じつはとても贅沢」に、レシピは載っていた。
①米1/2カップは洗ってザルに上げておく。
②鍋に米と水3~4カップを入れ、弱火でことこと炊く。ふたはせず、混ぜない。焦げないようにときどき鍋底をすくうようにして起こすとよい。
で、何分炊くの? とネットレシピを見ていくと、この分量で30分~40分、どれも蓋をして炊いていた。焦げないようにと混ぜていた。塩をふたつまみほど入れていた。
平松洋子風に、あえて蓋をせず、あえて混ぜることをせず、あえて塩を入れずに炊いた。
これが、とびきり美味かった。
からだのまんなかに、ぽっと静かな灯りが灯ったようなおだやかさ。なのに、たっぷりとした満足感がある。それは、心沸き立つにぎやかなおいしさではない。しだいにゆるやかに満ちていく充足のよろこびだ。
さらに、平松洋子はこう続ける。
だから、お粥を食べるとからだも気持ちも、自分なりにすとんとおさまる。もう一度居場所を見つけ直したような、在るべき位置に戻ったような、そんなかんじ。
読んでお粥をお米から炊きたくなり、食べて納得する文章である。
平仮名使いが多く、しかしそのやわらかさを忘れさせるほどにインパクトがあり軽快だ。読みながら、爽快な気分になる。
そんな文章を読み、お粥で温まり、在るべき位置に戻っていく自分を感じている。
『夜中にジャムを煮る』の次に手に取った料理エッセイです。
カラー写真がところどころに入った贅沢な文庫本。
蓋が欠けた土鍋で、炊きました。4カップの水で沸騰してから40分ほど。
冷蔵庫から出してきた常備菜は、大根葉とじゃこの炒め煮以外、すべていただき物でした。
お粥には、やっぱり梅干しがないとね。
気に入りの漆塗りのレンゲで、いただきます。
お米の甘さやうまみがじっくり堪能できる。ああ、お米っておいしい。しみじみ思うはずだ。それはお粥を炊くとお米の真の味わいがおもてに出るからかもしれない。
まったくその通り。塩、必要なかった。
☆シミルボンサイトで連載中【平松洋子の料理エッセイに誘われて】
お米からお粥を炊いたのは、子供の離乳食の時でした。
一度に炊いて、小さいタッパーに小分けして冷凍していました。
それ以来お米からお粥って炊いた事はないですね~
ファスティングの後の回復食でお粥を食べようと思った時も、レトルトのお粥を買いました。
お米から土鍋でコトコトと炊く。
シンプルでお腹に優しくて、そして炊く時間も贅沢な気分ですね。
お粥と言えば、タイで食べた中華粥が美味しくて、今もオートミールに中華スープの素を入れて、味をどうにか再現しています。
後、奈良ホテルの茶粥の朝ごはんも美味しかったです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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