レタスの川上村の名は、関西以南にもとどろいているのだろうか。
関東地方では、知らない人はいないというほど有名だ。
その川上村まで、高速道路を使わずに(使おうにもない)家から1時間弱だった。
車を飛ばしたのは、ほかでもない「三十三番土偶札所巡り」の土偶たちが待っているからだった。
一体は、仮面のような面持ちの「仮面装飾香炉形土器」だった。
目にあたる部分は大きく丸くくり抜かれているが、仮面として被るものではなく「香炉」として火を灯すものだったようだ。後ろ側には火を入れる穴が大きく空いている。
それでも「仮面」の名に違和感がないのは、顔全体に施された独特な装飾による。
顔の真ん中に縦に盛り上がった模様が、目の周りにも、額にあたる部分にも模様がある。形も三角形で、頭頂部が尖っている。
ひと目見て、「仮面」である。
「仮面」は、顔を隠すためのマスクとしての役割が主立っているかのように考えていたが、どうやら違うらしいと「仮面装飾香炉形土器」を見て思った。
考古学的にも、儀式など特別なときに使われたと考えられていることからも、宗教的な意味合いが強いのではないだろうか。
縄文時代の人が、どんな神様に祈りを捧げていたのかは深い謎だが、新たな土偶や土器に出会うたびに、なにかを信じ、祈りつつ必死に生きていた人々の姿が浮かび上がってくる。
川上村の仮面さんの回りにも、そうやって日々祈りながら生きていた人たちが、きっと生きていたのだ。
「仮面装飾香炉形土器」さんです。
28㎝。けっこう大きいんです。
後ろ姿。シンプルな模様が洒落て見えました。
「大深山遺跡出土顔面把手」さんは、小さい子。上の写真の右端に写った斜め後ろ姿がこの子です。
「大深山遺跡」では、51軒の住居跡が見つかったそうです。
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随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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