「いちばん不自由なんは、心やな」
なぜにエセ関西弁かと言えば、田辺聖子の小説を読んでいたせいだ。
で、何が不自由なのかと言えば、治療中の左の五十肩に加え、3日前の朝起きると右手親指つけ根が腫れて痛みを伴い、箸も歯ブラシも持てないという状態になっていた。長患いしている左腕を無意識下に揉み、傷めたのだろうか。いきなり両手不自由という状況に陥ったのだった。
夫が甲斐甲斐しく、カレーを煮たり洗い物をしたりしてくれた。
せっかく連休なのだから、ゆっくり休ませてあげようと思っていたのに。
わたしはと言えば、痛み止めが効き始めるまでは痛みがひどく本も読めないし、何よりがっくりきて何もする気が起きず、ふて寝するしかない有り様。
手の痛みだけでも弱っている心に、手が使えず役に立たないという精神的ショックが圧をかけ、すっかりふてくされてしまった。何ともヤワな心だ。で、
「いちばん不自由なんは、心やな」と、俯瞰し嘲笑していたわけである。
痛み止めが効き始め、庭を散歩していると、足もとでけろじが跳ねた。
石垣を登ろうとするが、跳ねては落ち、を繰り返している。そのうち近くのマツバギクの蔓につかまり、するすると登り始めた。
「いいなあ、けろじは蔓がつかめて」
心が弱っているときには、すべてに自分を重ね合わせる。水掻きのある指先に玉のようなものがついた小さな4本指に見入ってしまう。
だがそれを見ながら、ふてくされた心が少しずつほどけていった。
「治ったら、スミレとスズランの植え替えしよう」
いちばん自由なんも、心なんやな。
石垣の下で、ほぼ垂直の石を登ろうと何度もジャンプしては落ちていました。
マツバギクを利用しようと思いつき、ジャンプ!
上手く登れました。どんどん登っていきます。
このくらいの高さです。
しばらく止まって、考えこんでいる様子でした。
1時間後、見に行くとすぐ近くの石に移動。そのまま3時間ほど動きませんでした。ここを餌場にしようと思ったのかな? 夕方には、もういなかった。
いちばん不自由なんは、心やなって、よーくわかる気がします。
私も体の不調よりも、心の方が重症化するんですよね。(*_*;
でも大変でしたね。
少しは痛みの方は和らいだでしょうか・・・?
心が不自由な時は、どんどんふて寝してくださいね。
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田辺聖子、私も昔、よく読みました。
何回も何回も読んで、一番好きなのは「夜明けのさよなら」
同じ所で、よく泣きました。(^^ゞ
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どうぞお大事になさってくださいね~ヽ(^o^)丿
ユミさん
ありがとうございます♡
だいぶ楽になりました。いつもは飲まない痛み止めを飲んだのも、精神的に弱っていたからかな。
でも夫には申し訳なかったけど、食事の支度も洗い物もしてくれて、家族がいるっていいなって思いつつ、ふて寝することができました(笑)
田辺聖子、お好きだったんですね~
『夜明けのさよなら』探して読んでみます。
しばらくおとなしくして、すっかり治そうと思います。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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