句会の仲間と3人で、吟行をしようということになった。
「龍太を語る会」で山廬を歩き、俳句をする友人とともに季節を感じてどこかを歩くのはいいものだなあと語り合い、それじゃあ吟行に出かけようと。
「吟行(ぎんこう)」とは、俳句の素材を探しながら歩くこと。
季節ごとの季語が芯の部分にある俳句だから、屋外がスタンダードだが、以前観たアニメーション映画『サイダーのように言葉が浮き上がる』では、ショッピングモールでの吟行が行われていた。初夏のモールには浴衣が店頭に並んでいて、人間の居る場所には季節はついてくるのだから、どこでもいいのかもしれないとも思えた。
今回、選んだ場所は、北杜市大泉町の「谷戸城址」。
3人の都合が合う日にちありきで、どこがいいかとあれこれ考えていたが、そのあいだに桜が咲いている場所が絞られてきた。
俳句では、満開の桜がベスト、というわけではない。
春、初めて咲いた桜を「初桜」。散り際には「落花」「桜吹雪」など、そのときどきの桜を愛でる風情が数多く詠まれている。
『地球の歩き方』は、旅人への情報提供である。なので当然そこでは、濃く青い空の下、満開の美しく咲きほこる桜の写真が最も良しとなる。
ああ、今年はちょっと早かった。遅かった。でもこの日しか取材に当てられない。しょうがない。そんな一喜一憂をしていた。
けれど俳句の世界では、満開の桜も、咲き始めや散り際と同等に捉えられる。
そう、吟行をして体感した。
それは、見えない糸に縛られていた自分から開放されたような、そんな瞬間だった。
久しぶりに、「ナイスタイムカフェ」のオムライスを食べました。3人ともオムライスをセレクト。ゆっくりとハーブ入りの紅茶を飲みました。
なぜか、窓際に虫眼鏡。くつろぎすぎて、桜を見に行くのを忘れそうでした。
10分ほどで到着した「谷戸城址」は、昨年取材した桜スポット。
気持ちよく歩きました。
真っ白な桜も、咲いていました。
城址の上の方に登ると、八ヶ岳が雄姿を見せてくれました。
写真には撮れなかったけど、桜吹雪が美しかった。
「谷戸城址」で一眼レフを持ったおじさまに、「蕪(かぶら)の桜並木」を教えてもらって、急遽行ってみました。
八ヶ岳が気持ちよさそうに、こちらを眺めていました。
桜並木の木が、どれも巨木で迫力があり、歩いていると生命力のようなものを感じます。
曇っていたけど、こっちには富士山も見えるらしい。初めての吟行、楽しかった!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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