神戸から帰るも、夫はそのまま東京に残り会社へ行った。
一足先に返ってきたわたしは、久しぶりの晴れ間にたまった洗濯物を干す。
「晴れて、よかった」
口を突いて出たのは、待ちかねた青空ばかりのせいじゃない。
義母の口癖だ。
「ぶじに帰ってこられて、よかった」
「元気に会えて、よかった」
「淡路島に行ってきたの? よかったわねえ」
という具合に。
「よかった」と口にしながら暮らしていくのって、いいなと思う。
歳を重ねると、できないことが増えていく。義母もすべてよしという生活ではないだろう。けれど、あれがダメ、これが嫌と言いながら暮らしていたら気持ちも暗くなる。「よかった」と日々口にするだけで、同じような毎日だってまったく違うものになるだろう。
帰り際、義母が言った。
「ああ、大根おろしてもらって、よかった」
帰省したときには、たいてい大根をおろして冷蔵庫に入れて帰る。
「ああ、大根おろして、よかった」
わたしも、口にせず思った。
洗濯物を干したウッドデッキ。気持ちがいいなあ。
先週見つけて、夫が退治してくれたキイロスズメバチの巣。美しいですが、お引越ししていただきました。いなくなっていて、よかった。
こんにちは。
今天気予報を見たら暑いようですね。
お義母さんの言葉になんだかとってもいい気持ちになりました。
そういう言葉ってなかなか言える人が少ないように思います。
いま与えられている事に感謝する気持ち、これは意外に忘れてしまっている事が多い気がします。
我が家に帰ってさえさんもほっとしている事でしょう。
でもお忙しいですよね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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