我が家は、けっこう「すき焼き」をする方だと思う。
しかしたいていは、スーパーで買った豚薄切り肉での「豚すき」だ。最近はアラ還夫婦ふたりの食卓なので、お正月でも「豚すき」の方が脂っこくなくていいかという話になる。だから、若い頃持っていた「すき焼き」に対する特別感のようなものは薄れている。
思えば、生まれ育った実家では、家族みんなで鍋をつつくということがなかった。
タクシードライバーだった父が毎日夜勤だったせいもあるだろうが、北海道の牧場で育った両親は、子どもの頃から家族で鍋をつつく習慣がなかったのだと思う。
だから結婚し子どもが生まれ、家族で鍋を囲むことができるようになったとき、ことのほか新鮮で、なかでもすき焼きは特別で贅沢、言わばスペシャルでデラックスな食事だった。
特別なのには、わけもある。
夫は、神戸生まれ神戸育ち。神戸といえば、神戸牛だ。
彼に、関西風のすき焼きを教わり、いや、教わったと言っても、今も夫が鍋奉行。任せておけば、美味しいすき焼きが食べられる。
会社を立ち上げ社員も少ない頃には、忘年会は我が家で神戸牛のすき焼きを囲んだ。もちろん鍋奉行は社長である夫だった。
すき焼き=スペシャル&デラックスだった時代である。
そんな特別感も薄れてきたけれど、久しぶりに「牛すき」をした。松坂牛が降ってきたのだ。
長きに渡りご無沙汰していた牛肉のすき焼きは、「すき焼きスペシャルデラックス」と歌い出したいほどに美味だった。
ANAのマイレージポイントが今月失効になってしまうというので、慌てて頼んだ松坂牛で。
まず黄身だけにお肉をつけて食べるのが、わたし流。夫は、卵をよーく混ぜて肉をつけています。
食べてるうちに、卵も混ざっていきます。
第2弾です。第3弾は食べきれませんでした。
翌朝は、すき焼き定食。まだ肉があった(笑)夫は卵入り。わたしは卵抜きにしました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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