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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

シャインマスカットがあるから、だいじょうぶ

毎年、山梨は石和でフルーツ農園をやっている知人に、シャインマスカットを頼んでいる。東京や神戸の親戚に送り喜ばれているし、我が家でも心待ちにし、夫婦ふたりで競い合うように食べている。

種もなく皮ごと食べられるから減るのも早い。しまいにはどっちの方がたくさん食べたかとケンカになる始末。夫婦喧嘩は犬も食わないというが、夫婦喧嘩しながらでも、シャインマスカットなら美味しく食べられる。とにもかくにも、やたらめったら美味しいのだ。

そしてそう感じているのは、わたしたち夫婦だけではないようだ。

 

先週末、東京で暮らす母に電話した。

腰痛がひどいというので、手伝いがてら見舞いに行く約束をしていたのだ。けれど、高熱が出る風邪をひき、治り切らないうちに、ただでさえあまり具合がよくない80歳を過ぎた母に会うのはためらわれた。うつしたりしたら、悪い方の万が一につながる可能性がある。

明日はいけなくなったと、伝えなければ。がっかりするかなと、申し訳ない気持ちで電話口に向かいしゃべっていたのだが、意外にも母は元気だった。

「あら、声が違うわね。風邪?」

「うん、けっこうひどくなっちゃって、それで明日のことなんだけど」

「ああ、あれ、届いたわよ」

「シャインマスカット? うん。今年も季節だね。それで明日なんだけど」

「わたしね、あれ大好き!」

「うん。シャインマスカット、美味しいよね。いっぱい食べてね。それで明日」

「もう食べてる。冷蔵庫で冷やす前にいくつか食べちゃった。おーいしいの」

「よかった。そんなによろこんでもらって。それで明日なんだけど」

「風邪なら、明日はムリしないで。うつされても困るしね。それに」

「それに?」

「シャインマスカットがあるから、だいじょうぶ」

これには笑ってしまった。

料理の苦手な母は、普段からあまり食べ物には頓着しない性質(たち)である。その母に、これほどまで気に入られているとは。まあ、わたしがムリをしないよう、気を使わないよう言ってくれているのだろうが。

 

「今年も、シャインマスカットを送ってよかった」

電話を切って、ホッとため息をついた。

そう言えば、お礼の品を持っていくと「いらない」と言って怒った顔をする母と同じ年頃のご近所さんも、シャインマスカットだけは、もろ手を挙げて大喜びし、満面の笑みでもらってくれる。

うーん。シャインマスカットの美味しさたるや、恐るべし。

CIMG1341ひと箱に、3房入っていました。2kgです。

CIMG1454シャインマスカットという名ですが、艶消しの明るい黄緑色が特徴です。

 

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CIMG2394

PROFILE

プロフィール
2016-10-02-11-07-59-1
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

随筆かきます。

依頼はメールフォームからお願いします。

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