夫のチームメイトに、山菜をいただいた。
その数種類の山菜のなかには、初めて見る「ハリギリ」なるものがあった。
漢字では、「針桐」とかく。
ウコギ科の植物で、タラの芽と同じように天麩羅にすると美味しい山菜だそうだが、タラよりも灰汁が強く、地方によってはタラは食べてもハリギリは食べないところもあるという。
けれど、灰汁や苦みを持つ山菜が好物のわたしたち夫婦にとっては、大ご馳走だ。
名に「桐」がついているのは、ウコギ科のなかでも大木に育つ種で、桐のように家具などの木材として使われるからだとか。アイヌの人たちは、船をこの木で作ったそうだ。
幼木にはタラの木と同じく棘があり、しかし葉はタラと違い手のひらを広げたような7~9枚に裂けた形をしていて、ヤツデと同じく「天狗の羽団扇(はうちわ)」とも呼ばれるという。
その羽団扇を、開いた扇をきちんとたたんだかのように、ハリギリの芽には、見るからに緑があふれていた。まるで芽のなかに森を隠し持っているかのようだ。
さっそく天麩羅にしていただくと、たしかに灰汁が強い。しかしそれは旨みが濃いということでもある。
もう山菜ならハリギリと言いたいほど、すっかり、ハリギリに魅了されてしまった。
こんなにたくさん。
ハリギリです。ヤツデのように広がる葉を扇のように閉じています。
ウドとタラ。
コゴミ。
ガクの部分をとって、天麩羅にしました。
大きくて天麩羅鍋にふたつしか入らなかった。
こちらはタラ。小さく見えます。
コゴミは、3分茹でてマヨネーズで。深い味わいでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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