沖縄の旅の帰り、友人が、「オハコルテ」のヒラミーレモンケーキをお土産にと持たせてくれた。沖縄にしか店のないフルーツタルト屋さんで、ヒラミーレモンというのはシークワーサーのこと。しっとりさっくりとした味わいで甘さ控えめシークワーサーの酸味が効いている。
そのときのちょっとしたアクシデントをかこうと思う。
最終日はゆったり朝食を楽しむと、あとはレンタカーを返却し空港へと向かうだけ。
「空港で、ソーキそばでも食べようか」
などとのんきに話していた。
ひと悶着あったのは、eチケットを発券するとき。
「あれ? エラー出ちゃった」
近くに立っていた空港のスタッフさんにeチケットを見せると、すぐににこやかに答えてくれた。
「こちらはANAのカウンターですので。JALのカウンターはあちらになります」
ふたりとも、旅も終わり時間に余裕をもって空港についたので、かなり気が抜けていた。
「ああ、ANAとかJALとか、あったねえ」
「あったねえ。すっかり忘れてた」
と、スタッフさんから離れ、こっそり苦笑する。
ぶじ発券し、土産物を見たりソーキそばを食べようかと話していたとき、ハッと気づいた。
「紙袋がない」
といったのは、わたし。小さなスーツケースがやちむんなどでいっぱいになり、ダウンと薄手の白いジャケットを紙袋に入れて持ち歩いていた。
「白い紙袋に、白いジャケットが入っているんです」
レンタカーの送迎バスに忘れたかと電話するも、すぐにないとわかった。
友人には、あとで電話するからと言って別れ、空港内に忘れたのではないかとインフォメーションに聞くが、届はないという。JALのカウンターにもなく、やはり届けもなかった。
「ANAだ!」
そこからANAカウンターへ走り、ポツンとカウンター脇に置かれた紙袋を見つけた。
「あった!」
手にしたその紙袋には、たしかにわたしの白いジャケットが入っていたが、しかし紙袋は濃紺だった。どこで白い紙袋だと勘違いしたのか。
もう、しっちゃかめっちゃかである。
「よかったねえ」
満面の笑みで迎えてくれた友人が、まるでがんばったご褒美のようにヒラミーレモンケーキを手渡してくれた。
東京の寒空に上着なしで帰るのかと、友には心配をかけてしまった。
沖縄の旅は、まるでシークワーサーのようにすっぱくちょっぴりほろ苦い。というには、間抜けすぎるよね。とほほ。
箱も包装も、センスがいい!
レモンケーキならぬシークワーサーケーキ。しっとりさっくり。
このクッキーがまた、可愛い♡そして素朴で美味しいのは、タルト生地をそのまま焼いたからだそうです。
ジャケット見つかって良かったですね!
旅の時間は、あれこれと緊張もしますし、気が張りますし、ひとつに集中したら、他のことが・・・
という事は、ありますよね。
感激したのは、お友達。
ご褒美のように、お菓子を買っていてくださったなんて。
待っている間、心もとない、さえさんの事を思ってくれていたのですね。
心が広いなあと思いました。
とても美味しそうですね。このケーキ。お取り寄せしたくなりました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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