「土偶に会いたい!」シリーズ12は、長野県茅野市「尖石縄文考古館」へ行ってきた。
国宝に指定された土偶は、「三十三土偶札所巡り」のなかでもここにある2体だけ。楽しみに残しておいた考古館だ。
同じ部屋に展示された2体の土偶は、ただならぬオーラをまとっていた。
ほぼ完全な形で出土したという「縄文のビーナス」の特徴は、妊婦と思われる丸い体に装飾がないこと。つるりとした美しい肌には、雲母が混ぜ込んであり、それゆえ光沢がある。
これまで見てきた妊婦土偶のなかで、もっとも妊婦らしく見えた。
逆三角形の仮面を被った「仮面の女神」は、墓から出土したことから、死と再生の祀りに使われたのではないかと考えられているそうだ。縄文時代には古墳はなかったから、墓から発掘されるのはとても珍しいという。
5000年前縄文時代中期の「縄文のビーナス」と4000年前縄文時代後期の「仮面の女神」を比較することはできないが、ビーナスは意図して完全な形で埋められ、女神は意図的に右足を壊されたのではないかと推測されているらしい。
なぜ土偶は、壊されたのか。
ほとんどの土偶が壊れた形で見つかっていることから、このテーマは議論され続けてきたという。
土偶を身代わりにして壊したという説。安産祈願。作物の豊穣を祈ってばらまいたという説。偶然壊れただけという説もある。
ひとつの事実が解明されるたびに、これまで立ててきた仮説が崩される。考古学は、そんな繰り返しだと聞いた。
1000年ほども違う世界に存在した、2体の土偶たち。
もしかしたら彼女たちは、それぞれの時代のことを、わたしたちには聴きとれない言葉で語り合っているかもしれない。
「縄文のビーナス」です。
「仮面の女神」。
左下が「おやゆび姫」です。
その他、たくさんの土器が展示されていました。
☆『地球の歩き方』山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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