樹木希林の遺作となった『日日是好日』は、茶道を芯に据えた人が生きるということを描いた映画だ。
典子【黒木華】
美智子【多部未華子】
野田先生【樹木希林】
典子は、二十歳のときに茶道を始める。大学生。自分が何をしたいのか手探りの日々のなか、半ばなりゆきで同い年の従姉妹、美智子と通い始めた。
どうしてと疑問を並べるふたりに、野田先生は言う。
「意味なんてわからなくていいの。お茶はまず『形』を作っておいて、その入れ物に後から『心』が入るものなのよ」
「それって形式主義じゃないんですか?」と、美智子。
「なんでも頭で考えるからそう思うのねえ」と、野田先生。
世の中には、「すぐわかるもの」と、「すぐわからないもの」の二種類がある。すぐにわからないものは、長い時間をかけて、少しずつわかってくる。
典子は、そんなふうに思い毎週土曜、稽古に通うのだった。
二十歳のときから24年間。就職の失敗や失恋、大切な人との別れなど辛いことがあっても、典子は土曜になるとお茶の稽古に向かった。
その姿は、「すぐわからないもの」がわずかに扉を開け、手招きする瞬間を逃さないように、せかすことなく待ち続けているようにも見える。
雨の日には雨を聞く。雪の日には雪を見て、夏には夏の暑さを、冬には身の切れるような寒さを。五感を使って全身でその瞬間を味わう。
典子がお茶と向き合う瞬間、映像から雨の音があふれ出す。
わたしは忘れていた音に、空気に、色に、ハッとした。現実にすぐそこにある、見ようとしなかったもの、感じようとしなかったものたちに。
パンフレットに、映画評論家山根貞男はかいている。
波瀾万丈の物語が描かれているわけではないが、お茶を習うという、ただそれだけのことが、いかに波瀾に富んでドラマチックかを説得力満点で示す。細部の描写が、その積み重ねが、説得力を生み出すことはいうまでもない。
波瀾は、ドラマは、五感を研ぎ澄ませていればきっと、どんな日々のなかにも見つけられるものなのだろう。
映画パンフレットです。
印象的だった海辺のシーン。
樹木希林さんの笑顔やさしく。
登場した掛け軸の紹介もありました。
季節季節の和菓子たちも。
さえさ~ん、私も今日、見てきたんですよ~
ホヤホヤです。
二十四節気と共にゆっくり流れていく映画でしたね。
茶道を通して、人の年月の移ろいや痛み、とてもいい言葉などを教えていただいた気がします。
それにしても茶道って、奥深過ぎて大変なんですね~
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樹木さんの最後の主演と言われている映画「アン」が20日にBSフジで9時からありますよ~
ユミさん
わ~ユミさんも観られましたか~♩
胸がしんとする、そしてやわらかな陽射しを感じたときのような気持ちになる映画でしたね。
そうそう。二十四節気。
日本語って、四季のある日本って、いいな、美しいな~って思いました。
茶道って、ほんと奥が深くてたいへんなんですね。
義母が茶道の先生していたんですが、少しだけでも教わっておけばよかったなってちょっと思いました。
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『アン』の情報ありがとうございます!観てみます♩
おはようございます。
希林さんの遺作になったこの映画見たいと思っていました。
わが町ではまだのようですが。
予告編だけみても静かでしっとりとした映画ですね。
わたしがいけばなを始めたのもはたちの頃で、もう果てしない長い年月がたちました。
学生の頃は月いちだったり、子育ての頃はたまにお茶にいらっしゃいと誘ってくれて子連れでお邪魔したり、本当に楽しいお稽古でした。
先生はもう93歳(?はっきりわかりません)になられお稽古はしておりませんが、書道の教室に花をいけて欲しいと呼ばれればみんなで生けこみをし、楽しい事もあります。
典子さんと同じ気持ちでひたすら通ったお稽古、でも続ける事はとても大切だな~と今思います。
早くみたいです。
そして今よりももっと季節を感じて暮らしたいと思いました。
hanamomoさん
hanamomoさんは、華道をされていたんですね。
きっと通じるものが多いと思います。
素敵な思い出もたくさんおありなんですね。
義母が華道と茶道の先生をしていて、もう昔の話ですが、神戸なので遠く、子どもたちが小さかったこともあり教えてもらえなかったこと、残念に思っています。
何ごとも続けることって大切ですね。
ぜひ、楽しんで観てください。
わたしも、今よりもっと季節を感じて暮らしたいな~って思いました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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