東京で、娘夫婦と久しぶりに会った。
結婚したのはちょうど1年前になるが、桜の季節を待ってこれからウェディングフォトを撮るのだと、幸せそうに話していた。
そんな夜、夫とふたりで夜桜を眺めながら水道橋を歩いた。
「夜桜」は、春の植物の季語「桜」の傍題。ほかに「夕桜」「朝桜」などがある。
夜桜やうらわかき月本郷に 石田波郷
波郷が学生時代を過ごした本郷の桜。瑞々しい月を「うらわかき」と詠んだのは、若さゆえか。
夕桜家ある人はとくかへる 一茶
「とく」は「疾く」。「早く帰る」の意味だそうだ。実家と対立していた一茶は、暖かい家庭を欲していて、淋しさを詠んだといわれている。
しんとして露をこぼすや朝桜 正岡子規
春は曙。そんな特別な時間、ひとり静かに眺めた桜に光る朝露。朝の桜は、際立つ美しさだったのだろう。
身の奥の鈴鳴りいづるさくらかな 黒田杏子
昨年「龍太を語る会」で講演した翌日84歳で亡くなった黒田杏子は、30歳から「日本列島櫻花巡礼」を始め、桜を詠み続けてきたという。
来週の句会の兼題「落花」「春惜しむ」がなかなか詠めず、夜桜を見上げて歩いたのだった。
日曜日の東京駅は、自撮りする観光客で混み合っていました。
絵になるもんね。桜の季節だしね。
夜は、水道橋にリニューアルオープンしたイタリアンレストランにお祝いに行きました。
フラッシュたかないと、こんなふうに撮れるんだね。
ほとんど人がいない、穴場の夜桜でした。
可愛い。
田舎者には、ビルと桜が物珍しく映りました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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