冬のあいだ、夫が庭やウッドデッキに向日葵の種を撒く。蒔くのではなく、撒くのだ。水も用意している。野鳥たちのためである。
彼らもよくわかっていて、「おじさん、今日はまだ?」と催促するかのように物干し竿にとまって家のなかをのぞいては飛んでいく。だが、それほどまでにわたしたちを信頼してはいない様子だ。窓を開けるといっせいに飛んでいくし、写真を撮ろうと窓際に近づくと気配を察知しやはり飛んでいってしまう。
その彼らを心置きなく愛でられる場所がある。洗面所だ。
ウッドデッキに出られる大きな窓があるのだが、そこに黄色いブラインドがとりつけてある。金属のごく普通のそのブラインドを昼間は陽が入るように少し開いているのだが、そこからデッキにやってくる彼らがよく見える。
「鳥たちは、ブラインドがあるとこっちが見えないらしいよ」と、夫。
「気配も感じないんだね。不思議」と、わたし。
家のなかでちょっと動いただけで一斉の飛んでいってしまうこともあるのに、ブラインドは気配さえも消してしまう。夜は見えにくいという鳥目特有のものだろうか。よくわからないが、ブラインド越しにいつも可愛い姿を観察させてもらっている。
それにしても、食べ物を分けてあげてるんだからそんなに怖がらなくても、とも思う。だが夫が留守のあいだ、わたしが向日葵を撒くかと言えば、気が向いたときにだけ。野鳥たちは、「おじさんお留守かな?」「魔女しかいないのかな?」という目で、洗濯物を干すわたしにちらちらと視線を送ってくる。
信頼されていないのは、わたしだけなのかも知れない。
洗面所のブラインド越しに、こんな感じで見えます。シジュウカラたち。
アップにしたヤマガラくん。キュートです。
こっち見てる! ってわけじゃないんだよね~
文法、だいじょうぶですか?
それにしてもドキッとするタイトルです。
なずなさん
love is blindをパロッてるだけなんですが、わかりにくかったかな?
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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