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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『ウドウロク』

『ウドウロク』(新潮文庫)の文庫が出た。

3月にNHK『あさイチ』キャスターを引退すると同時にNHKを退社したばかり。有働由美子のエッセイ集である。

初出は4年前だが、長く務めたNHKを退社するにあたり考えたことや、書き下ろしエッセイ「大人になってからの失恋」も文庫版には収録してある。

有働由美子、等身大のエッセイ集といっていいだろう。

 

わき汗のことから、スーパーで少ない品数のカゴをのぞかれ「淋しい人」と言われたこと、食器棚のフィギュアまもるくん、好みの男性や、200件以上こなしてきた結婚式の司会に入れ込み過ぎること、緊張の嵐だった紅白の司会、NYでのこと、ご両親のこと、そしてもちろんいのっちのことなどなど、おもしろおかしく読ませてくれる。

 

読んでいて心地いいのは、言葉選びが洗練されているからだろう。

崩した今風の言葉も使いつつ、流れるような読みやすい文章に仕上げている。感服した。「大人になってからの失恋」から引用してみよう。

犬を飼っている独身の友人をあざ笑っていた。

あ~あ、ついにそちら側へ。生身の人間ではなくペットに、あふれる母性と愛情を注ぐことにしたのかい。ワタシはしばらく恋もしていないが、まだペットには逃げてない、と、なんとなく上から目線で語っていた。長い間。

しかし、ワタシは犬を飼った。

寂しくなったわけでもない。誰かにしつこくすすめられたわけでもない。同じ独身の友人の一言で、飼いに走った。

「人生でやりたいこと、ほしいもの、ほしいと言っていいはずなのに、どうしてしないんだろうね。私たちって」

芯のところにある自分の気持ちに気づかず、周りからどう見られるかとか、マイナス面だとかに気をとられてばかりいるってこと、確かにある。

 

物事の本質を捉えようと執着するスタートとなったエピソード「いちばんの人」は、胸に響いた。

「だって、私、お母さんにお金送らなあかんもん。お母さんかわいそうやん。お姉さんは大学とかも出てるからええけど、わたしなんかアルバイトするにも施設の人が頭下げて頼み込んでやっとさせてもらえるねん。なんで売春してお金稼いだらあかんの?」

私は、答えられなかった。

そして、はっとした。

「売春してはいけない」と、私は信じてきた。

けれど、なぜ売春をしてはいけないのか。いやもっといえば、売春は本当にしてはいけないことなのか?を、考えたことがなかった。

ウドウさんって、かっこいいよなあ。

読み終えてうっとりした。

だけどね、とひとつだけ、ウドウさんに言いたいことがあった。

結婚して子どもを授かって幸せに暮らしているように見えたって、順風満帆に幸せな人生なんてないんだよ。

CIMG1530素敵な笑顔だなあと、惚れ惚れします。

CIMG1586目次です。黒ウドウ、白ウドウなんてのもあります。

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PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

依頼はメールフォームからお願いします。

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