ジャケ買いした。
先週東京に出たときに、本屋をゆっくりと歩く時間があった。
『パリのすてきなおじさん』(柏書房)というタイトルにも魅かれるが、金井真紀が描くおじさんたちの絵にも何とも味わいがある。
『おしゃれなおじさん』『アートなおじさん』『おいしいおじさん』『あそぶおじさん』『はたらくおじさん』『いまを生きるおじさん』の6章あり、30人ほどのおじさんたちを絵と文で紹介している。パリ案内などはパリ在住40年のディレクター広岡裕児が務める。
『おしゃれなおじさん』セバスチャン・ドダール(10着しか服を持たない男・47歳)は言う。
「二分考えれば済むことを、みんな大げさに考え過ぎだよ」
服を選ぶときに限らず、多くの人はいつもあれこれ迷ったり、どうでもいいことをぐちゃぐちゃ悩んだり、小さな出来事をドラマティックに捉えたがったりする。そんなの時間の無駄だとセバさんは言うのである。
「もともとそう考えていたんだけど、2015年のパリの同時多発テロを経験して、ますますそう思うようになったよ」
人生には予想外のことが起きる。そして限りがある。だからこそ、本質的なことだけに目を向けるべきだ。考え過ぎず、シンプルに。セバさんの「いつも同じ服を着るおしゃれ」の根っこには、風通しのいい哲学があるようだった。
なるほど。セバおじさん、ありがとう。最近、どうでもいいことをぐちゃぐちゃ悩んでたんだ。2分考えれば済むことだよね、たしかに。
『いまを生きるおじさん』ピエール・アンリ(難民支援団体の事務局長・62歳)は、言う。
「ひとりの人間を救うのも人類を救う」
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通する言葉らしい。
「世界は救えない。ただ、ひとりの人に向き合うだけ。わたしたちには、それしかできない。でもそれが大事なんだと思っています」
ピエールおじさんのようにはいかないけれど、そう言ってもらえると可能性が広がる気がする。小さなこと、できることをしようって気になる。
なーんて、ときどきめくっては、好みのタイプのおじさん選びしたり、世界のことについてまじめに考えたりするのも、いいかも。
おじさんって、意外と種類豊富なんだね。
表紙の絵はグレゴリー・レヴィ氏(おしゃれ弁護士・39歳)彼曰く「ミラノで服をオーダーする。そこにしあわせがある」
「読めば21世紀の隣人の姿が浮かび上がり、クスクスも赤ワインも、より味わい深くなる」by中島京子
『パリのすてきなおじさん』楽しい本があるのですね。「おしゃれなおじさん」「アートなおじさん」
「美味しいおじさん」「遊ぶおじさん」「働くおじさん」「いまを生きるおじさん」etc.30人ほどのおじさんを絵と文で紹介している、なんて聞くだけでワクワクします。「二分考えれば済むことをみんな大げさに考えすぎ」「風通しのいい哲学があるようだ」「ひとりの人と向き合うだけ。それが大事」そうですそうですと。それにしてもパリでは何歳ぐらいをおじさんと呼ぶのでしょうか。
いま読んでいる塩野七生(ローマのことを書き続けてきた)の言葉に「日本では若くなければ女ではないといった具合だが、イタリヤでは容色の落ちた熟年の女性にスポットがあてられる」と一刀両断な物言いを楽しく読みながら、そういえばそんな物語が多いと思い出したところでした。
先日の会でも思ったことですが、作品に対しての男性の鑑賞・批評が厳しく心地いいのは、それだけ社会の厳しさを経験してきたからではと。それこそ「風通しの良い哲学」の心地よさではと改めて思います。
Yasukoさん
パラパラめくるだけでも楽しいし、じっくり読めば深いこともかいてある楽しみ方もいろいろな本です。25歳から92歳までのおじさんが出てくるそうで、子どもたちより年下のおじさんもいらっしゃいます(笑)おじさんの定義も、いろいろなんでしょうね~
イタリアの女性観もおもしろいですね。
『ミラノのすてきなおばさん』って本もありかも。
男性と女性、差別とかいうことではなく違いを楽しめることって大切だなと思うこの頃です。
この本読みたい!と思いました。
パリ案内も、生きる術も、惹かれるものがいっぱい詰まっていそうですね。
2分考えれば済むことを、ぐちゃぐちゃと・・・・。
はい!私です!
考えてしまいますね~。大事なことでもありますが、もっと楽に流せないかなと。
考え過ぎない・・・。でも人は、ついつい考え過ぎるものですね。きっと。
ぱすさん
どうしようもないことをぐちゃぐちゃ考える。
わたしも、はい、わたしです!(笑)
パリ案内には、ワインと食のマリアージュから、様々な人種が集まるが故に起こることなど、知らないことがいっぱいかかれています。
とにかく絵が素敵。
のんびりひらいて、しばらく楽しめそうです♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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