小説が好き。
本を手に取った感触が好き。
紙の本が好き。
それぞれ重さも手触りも違うのがまた好き。
新しい本の紐栞がくるんと丸まっているのが好き。その紐栞の跡がくっきりとついていたり、微かについていたりするところが好き。
紐栞と表紙のなかの一色が同じだとか同系色だとかを見つけるのが好き。
カバーをとって、なかの装幀を確認するのが好き。
そこに思わぬ悪戯を見つけたり、工夫に唸ったりするのが好き。
読みかけの本を鞄に入れているという、ぬくもりが好き。
ベッドの上に忘れてかけいた読みかけの本を見つけるのが好き。
ミステリーが好き。
ミステリーでも何でもない小説に、小さな驚きを発見した瞬間が好き。
――本が好き。
そんな「本が好き」という空気がそっと置いてあるような空間を見つけた。
先週紹介したカフェ「ボンシイク」と同じアメリカヤビルの3階にある、新刊から古本まで厳選した本を3坪ほどの部屋に集めた週末だけの本屋さんだ。
そこに行き、取材をさせていただいて、思い出した。
むかし、こういう空気が漂う本屋さんに憧れていたなあと。本屋という職業に。
いつ忘れてしまったんだろう。
ぽろぽろと、そんなたくさんのものを落としながら生きているのだろうか。
それでも、「本が好き」という気持ちは、ずっと胸の奥に居座っている。
「アメリカヤ」の入口の階段です。
急な階段を3階まで上って。
細い廊下を歩いて。
「mountain bookcase」に到着。
☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。
【夢に見た本屋さんに行きたいのなら、アメリカヤの階段を上って~「mountain bookcase」】
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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