陶器祭り開催は、4月8日(土)9日(日)の2日間。9日の朝一には帰路に就く。8日丸一日を思いっきり楽しもうと、開催時間の午前9時には会場入りした。
メイン会場は「本町オリベストリート」。その他にも「駅前広場」や駅から徒歩3分のメイン会場に続く「ながせ商店街」や道をそれたアーケード「西通り」。無料シャトルバスで10分ほどの場所でも「市之倉陶祖祭」が開催されていた。街じゅうがお祭りなのだ。
陶器を扱う店はもちろんのこと、陶芸作家さんも多くの店を出す。バッグやアクセサリー、木製品などの手作り品の店も多く、綿あめ、たこ焼き、チョコバナナ、射的に金魚すくいもある。雨で例年ほどの人出ではなかったようだが、あちらこちらで子どもたちがはしゃぐ声が響いていた。
さて。夫に釘を刺されていた。
「買うのは、ひとつにしなさい」
「一日約ひとつにする」こそりとそう答えたのだが、たしかに食器はたくさん持っている方だと思う。好きだから増えてしまうのだ。なので歩きまわり、こと陶器に関しては祭りのほぼ全容を見られたと思う。いいなと思い、待てよと考える。また歩きまわり、いいなと思い、待てよと考える。お昼を食べ再度歩きまわり、いいな、待てよ。それでもどうしても欲しいものだけを買うことにした。
メイン会場近くの『織部うつわ邸』でやっていた安洞雅彦さんの「豆向付だョ!全員集合」と銘打った展示即売も、じっくり見て話を聞いて、考えて選んで立ち去ってからまた考えて、欲しいと思ったひとつがなくなっていたらあきらめようと決め、ようやく購入した。
形も絵も違う小さな織部焼が200種類くらいになるだろうか、なにしろテーブルいっぱいに並んでいて、ひと目で惹きつけられた。
「古風ななかに、新しさが光っていますね」
素人ながらに口にすると、安洞さんが教えてくれた。
「よくそう言われるんですけどね、じつはこれ全部400年ほど前の色、形、デザインを縮小して忠実に再現したものなんです」
「これが、400年前のデザインなんですか? この幾何学模様みたいなのも?」
「そうなんです。まったく古臭くないですよね」「たしかに」
向付(むこうづけ)とは茶懐石料理の膳で手前に置く飯と汁の椀に対して、器を向こうに置くなますや刺身のことをいうそうだ。縮小版の彼の器は、手のひらにすっぽり入る大きさで、手にとり馴染ませ、また置いて絵に見入り、山葵漬けを盛りつけたさまを思い浮かべつつ、ゆっくりと選んでいった。
店を出て歩きながら、ふと鞄のなかのその小さな器が微熱を発しているような気がして、温かな気持ちになった。たくさんの豆向付のなかからひとつだけ選んだものが、今自分の鞄に入っているのだ。なんとも、うれしいものである。
そんな「一期一会」を、多治見ではたくさん経験したように思う。
本町オリベストリートの入口です。小雨が降ったりやんだり。
人気の骨董アンティーク『三角屋』は、入れないほどの人でした。
これが安洞雅彦さんの「豆向付だョ!全員集合」。どれがお好きですか?
『市之倉さかずき美術館』前で開催されていた市之倉陶祖祭。多治見駅前から、祭り限定無料シャトルバスで行きました。窯元が並んでいる街なんです。
良い旅でしたね~
物を買うって、ほんとに一期一会だと思います。
出合っても縁がないと買えないし、縁がある物は手元に来るようになってるんですよね、きっと・・・
安洞雅彦さんの豆向付は、織部特有の色合いですね。
一つとして同じ物がないんですね~
この中から一つに絞るのは、私なら相当時間がかかりそう・・・
でも直感も大事なんですよね。
さえさんが、山葵漬けを盛るのを思い浮かべながら選んだ器、楽しみにしていますね。(^_-)-☆
ユミさん
ありがとうございます♩
ですよね~一期一会って言葉を久しぶりに思い出しました。
そうそう。ご縁なんですよね。物との縁もまたおもしろいですよね。
豆向付、見ているだけでわくわくしました。
じつは1日目に見つけて、一晩考えたんですよ~(笑)直感も、悩むのも大事です。
あそこにあった豆向付がいろんなお家で使われる様子を思い浮かべるのもまた楽しいですね♩
こんばんは、エッセイ教室の新見です。名前は書道の雅号です。私も焼き物が好きで、陶器市には良く出かけましたが多治見には、まだ行った事がありません。さえさんの、日々の生活の様子は自然の中での時間の流れが、ゆったりな感じで羨ましくさえ思います。これからも拝見していくつもりです、宜しくお願いします。
悠里さん
コメントありがとうございます♩うれしいです♡
焼き物、お好きなんですね~わたしも大好きなんです♩
多治見陶器祭り、楽しかったです。なんか、ピンキリっていうのとちょっと違うかもしれませんが、陶芸作家さんの突き詰めた作品もあり、百均で売っているような陶器もあり、それに値がつけて売られていて、それを選ぶ人がたくさんいて。物の値の不思議さとか、いろいろ考えました~
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします♡
わ~すごい!織部大集合!興奮してしまいました。
400年前の形を再現。全然、まったく古臭くもないですね。
どんなものを盛ろうか・・・それを考えるだけでも、わくわくしますね。
よく織部と言われますが、こういう緑の釉薬がほどこされたものを織部風と言いますよね・・。
織部焼とは、また違うのかな?そういう技法の事を言うのかな?とちょっと思っていました。
これが、正真正銘の織部焼なんですね。
お若い人たちも骨とう品に目を向けられてますね。
時々、京都でも立ち寄るのですが、見るだけでいつも終わってます。
味わい深い豆皿とか、見るだけで満足して店を出ます。
手頃なものからチャレンジしようかなと思いながらも・・。
「ひとつにしなさい」ご主人のご忠告を、ちゃんと、守られたんですね。
私も、こんなところに行くと、抑制が効かなくなりそうです。(笑)
ぱすさん
いや~焼き物って、ほんとうにいいですね!と淀川さんの真似をしたくなっちゃうくらい楽しかったです♩
厳密に言うと何が何焼きなのかっていうのは、深く勉強していかないと難しいんでしょうね。
気楽にただ好きなものを選ぶのも楽しいけれど、知識もあった方が楽しめる幅が広がりそうですね。
ひとつ・・・にはしていないんですが、夫に言ってもらってよかったかなと思っています。
抑制効かなくなりそうですね。
27,000円の志野焼の湯飲み茶わんですっごく気に入ったのがあったんですが、さすがに眺めるだけにしました(笑)
また行きたいです~。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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